悪役令嬢育成計画! ~悪役令嬢のメイドとして転生したのでゲーム通りの展開を見るために暗躍します! って、なぜかわたしの周りに百合ハーレムが形成されてません⁉~
第1話 プロローグ 戦う前から負けている
悪役令嬢育成計画! ~悪役令嬢のメイドとして転生したのでゲーム通りの展開を見るために暗躍します! って、なぜかわたしの周りに百合ハーレムが形成されてません⁉~
畔柳小凪
第1章 転生したら悪役令嬢のメイドだった件
第1話 プロローグ 戦う前から負けている
殿下に婚約破棄されたあの日。
婚約者にも、家族にも棄てられたわたしは、行くあてもなく、凶悪な魔物が出るという森の中を彷徨ってました。
王国随一の魔法の名門であるトワイライト公爵家の一人娘として生まれながらも、魔法師として、そして貴族令嬢として落ちこぼれのわたしには、実際に魔物に遭遇したらわたしに魔物と戦うだけの魔法の技能はありません。運良く森を抜けられたとしても、鈍臭くて何をやってもダメなわたしが、一人で一から身を立てていくことができるとは思えません。そして、そんなわたしを助けてくれるような人はもういませんーー否、最初からそんな人はいなかったのでしょう。
そんな風に人生を諦めていたわたしに、魔物の標的が見慣れない服装をした女の子から自分に移った時。わたしは死を覚悟すると同時に、それでもいいか、と思ってしまっていました。
むしろ最後の最後に貴族らしく無垢な一人の少女を助けられたのなら、落ちこぼれと物心ついた時から陰口を叩かれてこの国の王太子妃になんて相応しくないと言われ続けたわたしにも、生まれてきた意味があったと思えるな、なんて思ってました。だから、魔獣の鋭い鉤爪がわたしを襲った時。
さっき助けた少女が見慣れぬ形の片刃の剣でその鉤爪を受け止めたかと思うと、一瞬にして魔獣を【消失】させました。そんな彼女の剣捌きと、何よりその凛々しい横顔を、わたしは恐怖も絶望も忘れて「綺麗」と思ってしまいました。
それからどれくらい彼女のことをわたしは見つめていたのでしょう。あっさりと魔獣を倒した彼女はその場にへたれこんでしまったわたしを振り返って手を差し伸べたかと思うと、こんなことを言ってきました。
「あなたがレム=デ=トワイライト様ですよね。——突然ですが私に、あなたを悪役令嬢としてプロデュースさせてください!」
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