第6話
「佐伯、どうしたんだよ。そんな所で。」
俺は教室を出て佐伯の側に行く。
廊下で突っ立ってる佐伯は、少し驚いた顔で俺を見ていた。
「学級委員の集まりがあって。たまたまここ通っただけだよ。」
「そうだったんだ。お疲れ。」
「落合さんと一緒だったんだ。珍しいな。」
「少し、喋っただけだから。別に何もないよ。」
「そっか。」
何か言いたげな顔をする佐伯。
いつからいたかな?
俺が落合さんを抱きしめる所見られたかな。
まあ、いいや。
俺は佐伯と落合さんの仲を裂くようなことは、するつもりはない。
落合さんは俺を好きにはならないからね。
「神崎、もしかして落合さんの事・・・。」
ボソッと言った佐伯に、俺はふっと笑う。
「何言ってんだよ。佐伯の好きな奴だろ?俺はお前を応援してるよ。」
本当だよ。
佐伯の事はちゃんと応援する。
少し胸が痛い気がしたけれど、そんなの構わない。
俺は別にどうなったっていいんだよ。
佐伯の為ならな。
「神崎はいつもそうやって俺に遠慮するよな。」
「遠慮なんかしてないって。じゃあ俺、部活行くから。」
制服のズボンに手を突っ込んで、小走りで廊下を走る。
佐伯はひたすら何か言いたそうな顔をしていたけれど、俺は無視した。
あいつの言いたい事はなんとなく分かる。
言わなくたって、分かるからさ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます