バレンタイン編

金曜日

第1話

またあいつは顔を赤くしている。




俺の友達の佐伯に頭をポンポンと撫でられて。






ここ最近の昼休憩はいつもこんな感じだ。




佐伯の後ろに座る落合さんは佐伯が好きで、いつもいつも授業中は佐伯のことばかり見ている。




俺は佐伯の隣の席で一部始終見ているわけだけど、ほんとうざい。






俺のくじ運の無さに嫌になるよ。



年明けすぐの席替えだったし、多分もうしないだろうな。




くそっ!


3学期中、ずっとこの席かよ。







「きゃーー!!じゃあ、愛菜と付き合いなよー!2人お似合いだって!」



「もう香織、ほんとやめて。」





落合さんが全力で宇野さんの口を両手で封じ込んでいる。



ジタバタと暴れる宇野さんの隣で、楽しそうに笑ってる佐伯。





まじでうざいな。





この席になってからイライラすることが増えた気がする。







佐伯も何で笑ってんだよ。




どう考えても落合さんって、佐伯の事好きじゃん。





何で気付かないの?





ほんと、昔からそういう所鈍いっていうかなんていうか。




本当はさ、こいつら両思いなんだよね。





俺は両思いの2人の仲を引き裂く事なんてするつもりはない。




上手くいけばいいと、思ってる。



だって、両思いだし。



むしろ何でもっと早くこの2人付き合わないんだよ。



せっかく両思いなのに、勿体無いよ。





それに俺は佐伯は大事な友達だと思ってるし。



佐伯の事は陰ながら応援してるよ。







自分の本当の気持ちを隠してでもね。

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