第18話
校外学習当日。
民族博物館の前で、私と犬山くんはクラス全員揃っているか確認して、私が適当に考えた目標を伝える。
その後、館内に入ってからグループに分かれて、それぞれ行動するように促す。
「では、16時になったら、入口ゲートに集まって下さい。それまではグループで必ず行動して下さい。何かトラブルがあった場合は、従業員か先生に声かけて下さい。以上です。」
一斉にグループが行きたいところにバラバラと移動していく。
私は仕方なく、犬山くんと一緒に豊田さんと刈谷くんがいる場所に向かった。
相変わらず犬山くんはがっくりと肩が下がっていて、元気がない。
「コタロウ!元気出しなさいよ!いつものあんたはどうしたのよ!」
「だって春日さんが・・・。」
豊田さんが大きくため息を吐いた。
まだ引きずってるの?
あんなに楽しみにしてたじゃない!
せっかくここまで来たんだから、犬らしく楽しみなさいよ!!
もう、本当に面倒臭い男。
私と話せないだけで、どうしてそんなに落ち込むのよ。
あんた友達いっぱいいるんだから、私が無視したところでさほど変わりないでしょ。
「あ、春日井さん!!」
名前を呼ばれて振り向くと、一宮くんがいた。
どういう訳か、小走りで私の所にやって来て目が合う。
「本当にコタロウと同じ班なんだね!」
ええ。
非常に困ってますよ。
「まずどこから回るの?」
何故、私に聞く?
どこだっていいでしょ。
無視して歩き出そうとしたら、犬山くんが私と一宮くんの間に割って入って来た。
何!?と思って目の前に立っている犬山くんの背中を見つめる。
「どうしたんだよ、コタロウ。」
「・・・何でもない。」
何だよ!!!
何にもないのかよ!!
「おーい結翔!置いて行くぞ!」
「あ、呼ばれたから行くよ。じゃあまたね、春日井さん、コタロウ。」
一宮くんは再び小走りでグループの所に戻って行った。
一体、何のために私に話しかけたんだ?
何だか一宮くんも犬山くんもよく分からない人だわ。
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