「『大丈夫』って言ってよ」
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『もっ…………もしもし……』
『……おー、ハルちゃん。
……今日こそ、久しぶりやね』
『そう……ですね……』
『えーっと………
観てくれてた……よなぁ……?』
『………………当たり前ですよ、それは』
『そう……。
……良かった。今日は泣いてへんね』
『そ、それは……だって…………。
……"悔しい"って一番に思ってるのは
絶対、チームのみんなの方だもん。
私が泣いていいはず、ないです……』
『…………ごめんなぁ』
『な……なんでナギくんが謝るんですか!
一生懸命やった結果じゃないですか!
それに3位だって、十分な高成績ですよ!!』
『やー……それでもさ、もっといけると思ってたんよ。
"今回優勝して、世界大会の追い風にする"って、みんなで意気込んでてさぁ……。
自信もあったし、コンディションも最高やったのに。
うーん……やっぱ、世界の壁は厚いんかな』
『………………』
『あーあ。また言われてまうわ。
"所詮日本の中だけ"……とかな〜』
『………………だめだ。やっぱり悔しいです。
みんな、凄いのに。強いのに。
絶対絶対絶対……世界一になれるチームなのに』
『まあ……そんな期待を裏切ってもーた分、
ある程度の批判はしゃーないと思ってるけど……』
『う……裏切るなんて…………そんなこと、ないのに…………』
『メンバーが病んでまわへんかは、心配やなぁ』
『……………………』
『俺もちょっと……メッセージ見るの怖いかも。
………はは。情けないな』
『っ……………………あの。ナギくん。
取り留めのない話……してもいいですか?』
『うん?もちろん』
『あのですね……
私、本気で思ってるんです。
今のメンバーは、"神様が集わせてくれたんだ"って』
『え?か、かみ?』
『そう。
チームの司令塔は、視野が広くていつでも冷静な"
相手への牽制役は、強気な姿勢で立ち回り上手な"タイガ"くん。
縁の下の力持ちな"トワ"くんが、細かい役割も安定してこなしてくれて……
そして"ナギ"くんが、圧倒的プレースキルで最前線を切り開いていく。
え、なんていう素敵物語??神様、本当にありがとう。最高の奇跡』
『はは。そんな風に見えてるんや。
まぁ確かに、バランスええな〜とは思う』
『うんうん。
そんなみんなの試合には……ドラマがあるんです。
どんなに追い詰められても、厳しい条件が付き纏っても、絶対に誰も諦めない。瞳の奥の光が消えない。
決してワンマンなプレーはせず……全員の連携で試合を作る。全員で勝ちを獲って、全員で喜びを分かち合う。
最高で最強の
『わー……なんかソレ、すーげぇかっこよく聞こえるな』
『そう!本当にかっこいいんです!永遠に見てたいんです。
勿論、いつかは…………移籍や引退等で、ずっと同じメンバーでは居られないことはわかっています。それがプロの世界ですもんね』
『……うん』
『けど、それまでは……自然に最後を迎えるまでは。
曇りなくキラキラ輝くみんなが、同じ舞台の上で楽しそうにプレーしてくれるだけで……
もうそれだけで、期待値以上なんですよ』
『え……それだけでええの?』
『そうです!
その姿を見られるだけで、全身が"ハッピー最高幸せ〜"でいっぱいになる感じです』
『……どんなに情けない結果でも?』
『情けないなんて思いません。
そりゃ、なるべく悲しんでる姿は見たくないけど……。
何度失敗してもいいんです。
何度負けたっていいんです。
その度に強くなって、前に進んでいくみんなのことが、
私は……ううん。"
大好きなんですから』
『………………』
『だからね。
どんな結果でも、めげないでほしい。
どんな声にも、絶対に折れないでいてほしい。
みんなの努力、私たちはわかってますからね。
私たちがいますから……大丈夫ですからね』
『……まじで俺らのファンのみんな、頼もしいな。
誇りやわ』
『ふふ。
ただ……欲を言えば……。
やっぱり、トロフィーを持って笑う姿も見たいです』
『……わかった。
うし。ありがと、気合い入ったわ。
ちょっとアーカイブ見直して、研究してくるな』
『はいっ。いってらっしゃい』
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