「『俺の前だけ』って言ってよ」



・-・-- ・・ ・-・-・ -・- 



『はぁい。もぉしもぉーーしっ』



『………………え』



『ナギくん、きょも、おつれれさまえしたぁ』



『……ごめん、誰?

俺が電話かける先、間違えた?』



『モモでぇすよう』



『え……ほんまにモモちゃん?』



『はぁい!』



『な……なにその未だかつてないテンション』



『えぇー、ぜんぜ、普通れすけどね???』



『呂律回ってないし……。

もしかして:酔ってる』



『ヨウテル!』



『……おー。見事やな』



『褒めたぁ?』



『褒めた。可愛えーね、モモちゃん』



『えへへ。ホメラレタ』



『何でそんなことなってんの?』



『わかんない!飲みかいっ!』



『あー……そう。

どーりで今日の配信、おらんと思った』



『ウン。ちゃんと、あーかぶで、みますよぉ』



『ちなみに、さぁ………………』



『はぁい』



『…………その飲みって、男とじゃないよな?』



『やぁだー、当たり前じゃないれすか。

男の人も、居ましたよぉ』



『え』



『カイシャの、コンシンカイ?だったですからぁ』



『あ、そーいうね。ふーん……』



『ふーん♪』



『…………若くてかっこえぇ人とか、おった?』



『うえー。いませぇんよぉ。若いひとはいてもぉ。

ナギくより、カッコいぃ人、なんて』



『うわ……破壊力あるなぁ。

……実は計算やったり、せんよな?』



『いち、たす、いち、ニッ!』



『どーやら違うらしいな』



『チャウ?二ッじゃない??』



『あ。そや、前から聞きたかってんけどさぁ。

"momoモモ"ってアカウント名、なに由来なん?』



『そえは、決まってーじゃないえすかぁ。

桃山ももやまのモモてすよー』



『すーげぇ。普段なら絶対教えてくれへんのに。

……えーと。"桃山"てことは、苗字よな?』



『ハイッ!

"haruハル"と迷ったーですけどねぇ』



『ハル?』



陽菜ハルナの、はる!!』



『……おー。そっかそっかぁ。

じゃあこれからは、"ハルちゃん"って呼んでええ?』



『ええのです!!』



『あ、待って。証拠として録音しとこ。

もっかい言うて?』



『はーい!ハルって呼んでほしーれーす!』



『おー、めっちゃええやん。

あ、ついでにさ。

ハルちゃん、今度俺と遊びに行こーよ』



『行く!!』



『どこ行きたい?』



『んーーーどこでも!!!』



『俺、一緒に行きたい美術館あんねんよな。

ちょっと遠いんやけど』



『そこにするぅ』



『ほな、来週末でどう?』



『らいしゅーまつにしまーす!!!』



『これからも"お出かけしよ"って言うたら、来てくれる?』



『出かけまーす!!!』



『はい。REC完了。クランクアップや。

これはもう、言い逃れできんよなぁ?未来のハルちゃん』



『なぁ〜』



『……うーん。散々言わせた後で、なんやけど。

ハルちゃん、酒はあんま飲まんほうがええで。

他の男がおるとこでは絶対禁止レベル』



『んん…………ナギくぅん…………』



『えっ…………な、何?』



『むずかしぃこと……わかんないですよぉ…………ネムくて』



『あぁ……そう……。

…………もー、急にドキドキさせるんやめてよ。心臓に悪いやん』



『うー』



『ハルちゃん……もう寝な?

ちゃんと水飲むんやで』



『はぁい……オヤスミなさぁい』



『はい。おやすみ』



・-・・・ ・-- ---・- ・・-・- 

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