第4話 離島

転勤が正式に決まったのは赴任日の一週間前。

離島なので、引越しの荷物が届くまで少しの間民泊に泊まることにした。


ほぼ貸切状態。

二人でご飯食べに行ったり、飲みに行ったり、一緒に露天風呂に入ったり…。


堂々と歩くことが出来る事に安心感を得ていた。


また赴任先では、よくよく話を聞いてみると光の前の課長がかなり大変な人で、売り上げも少なくやり方もなかったので最終的に飛んだとの事だった。


その分、光は本当に仕事が出来る。

色んなデータを見て、方向性を決め、やり方を作り、事務所の既存4名を集め話をした。


20代から50代までの男のみ。

全員島の人間。


光は飲み物とお土産のお菓子を用意した。


早々に日程を組んでざっくばらんに全員で話せる日を設けて場を作った。



その日は早めに社員を帰らせて僕と光だけが残った。



「…光。これさ、残業する必要なくない?絶対終わるじゃん。」

「うん。要らんな。」

「毎朝ミーティングすれば解決できんじゃないの?」

「できる。」

「……」

「…お腹減った。」

「だな。帰るか。」


時刻は19時をさしていた。



────────────寝る少し前。


「流星。」

「ん?なに?」

「来い。」


僕は先に横になる流星の腕の中に入った。


「…大変になると思うけど頼むな。」

「大丈夫。」

「無理はすんなよ。」

「光もダメだよ?」

「わかった。」


「……」

僕が光を見上げるとひたいにキスしてくれた。


「ねむい。」

「だな。寝るか。」


光の声は低くて太くて心地いい。

この声を浴びてから寝る。

これが、幸せ…。






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