異世界の掟

再々試

第1話 転生者

私の名前はファラム。

ガクト様という方にお仕えをしております。

ガクト様は日本から転生してこられた

いわゆる転生者で、今は冒険者をされています。

昨今では大流行りの

「異世界無双系」物語の主人公をされており

皆様もガクト様が魔力測定で水晶を割る姿を

見たことがあるのではないでしょうか。

私はガクト様に心底惚れているという設定で

いわゆるハーレム要因と呼ばれる役をしております。

ハーレム要因と聞くと


「なんだ主人公の全てをお膳立てするだけの

あの役か。」


とお思いになるかもしれませんが、

実際はそんなことはありません。

私達サブキャラは様々な困難を抱えているのです。

ガクト様が転生されてから今まで、私達は様々な苦労をしてきました。

最初は

ガクト様が転生してきた時の事です。


___


「大変です。国王様。

この世界にも転生者がやってきました。」


「なんだって?

全くあの女神も迷惑な奴だ。

何回死なせるべき奴を間違えるのか。」


「まったくです。

しかもその度に死なせた者を別の世界に転生

させてさせるのですから困った物です。」


「今度はついに私達の世界か。

今回も転生者は主人公になるのだな。」


「もちろんです。

今回は死んでチートスキルを貰って転生、

転生したら黒髪だということで馬鹿にされ続け

遂には家から追放される

という流れになります。」


「はあ、黒髪の国民に髪を染めるよう言わなきゃいけない。

ちなみに転生者はどこの家に転生するんだ?」


「バーガンディ家です。

あそこなら問題無いと思い、

女神にバーガンディ家に転生させるよう要請しておきました。」


「うむ、良い判断だ。

あそこの家には色々迷惑をかけることになるがな。」


「ええ、ほとぼりが冷めたら伯爵から侯爵に

昇格させましょう。」


「それと、転生者ということは、

転生者をお膳立てする人間が必要だな。」


「既に何人かあてはあります。」


「その中の1、2人にはエルフのふりをさせておけ。」


「かしこまりました。

国民には転生者が来るという旨を伝えておきます。」


「頼んだぞ。

転生者は皆が一丸とならなければ対処できない。

私も今のうちに演技の練習をせないかん。」


「神にもすがりたい思いです。」


「張本人だがな。」



__

バーガンティ家


「旦那様。

今、連絡がありまして

この度の転生者はこの家に転生するそうです。」


「そうか。」


「旦那様…」


「何も言うな。」


__

王宮の一室


「ファラム。

これから貴方は転生者の付き人としての教育が施される事になります。」


「はい。がんばります。」


「ええ、頑張らないとね。

大丈夫、大丈夫よ。」



それから一ヶ月後1人の赤子がバーガンディ家に

産まれた。

ガクトと名付けられた赤ん坊が転生者であることは誰もが知っている事であった。

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