世界最強!無敵!の郵便屋、配達途中に世界を救う

つなまぐろ

プロローグ

 その昔、伝説の郵便屋と呼ばれる存在がいた。

 その名は、ローザ。

 ロバル王国の郵便屋ギルドに所属していた。



 「すげぇ〜! なんだよ、あいつの機動力! 家の屋根を足場にしてどんどん配達していくぞ!」

 「おい、見ろよ!! あいつ、空気を蹴って空を飛んでるぞ!」

 ――あんまり騒がないでくれよ。集中が切れちゃうかもしれないからさ。それに僕は、いつもこうしてるし。

 

しばらくすると、空を埋め尽くすほど巨大な邪竜が現れた

 「う、うわぁぁ! あ、あれ邪竜ベルセポネじゃねえか!!」

 「うそだろ! あいつ、800年前に勇者と魔王の共闘によって倒されたんじゃなかったのかよ!」

 「お、終わりだ、この街も、この世界も……」


 ――うわぁ、めんどくさそうなやつが出でてきたぞ。もうさっさと配達して、次の依頼を片付けないといけないのに。こうなったら……


「ごめん、オム二、力を貸して」

 その瞬間なにもないところから、オムニと呼ばれた存在が現れた。

 

 膝下まで伸ばした金髪と純白のドレスが恐ろしいほどに似合う清楚系の美人。 

 身長はおよそ170センチぐらいで、男の夢が詰まったボン・キュッ・ボンの理想的な体系をしている。

 おまけに頼ったらすぐに助けてくれたり、甘やかしてくれる完璧な性格。

 

 しかし、彼女は……

 「ふふ、女神に楯突こうなど1万年早いですね。さぁ滅ぼしてあげましょう」

 

 そう女神だった。僕は十歳のころに、彼女から力を貰い、勇者になり、世界を平和にしろと命じられたのだ。

 まぁ、勇者なんて面倒そうだからならなかったけど。

 そんな事を、思い出してると別の声が聞こえてきた。

 

 「おいローザ、我にも出番をよこせ!」

 そう言うと、目の前にまた一人女性が現れた。

 

 彼女の名はインペラトル。

 ショートカットの黒髪と赤の着物が良く似合い、どこかツンとした印象をうける美人だ。

 身長は170センチとオムニと同じくらいだが、オムニとは違って、キュッ・キュッ・キュッのスレンダー体型だ。

 基本厳しいが、認められた時にたまにデレデレする、かわいい性格。

 

 そして彼女は……

 「ふん、ちっぽけな邪竜ごときが、この竜王に勝てるとは思うなよ」


 竜王だった。彼女もオムニと同じ時に僕に力を与えてくれ、竜騎士になれといってきた。

 やっぱり、竜騎士もつまらなさそうで断ったけど。


 すると、

 「あのー、私でなくて大丈夫ですよね?」

 と、優しい声が聞こえてきた。

 「いや、2人出てきたんだ。せっかくなら、ヘラゾも出てきて三人揃わないと」

 「そんなぁ……」

 

 がっかりした声のあとに、彼女は嫌々出てきた。

 彼女の名はヘラゾ。

 身長は165センチぐらい。

 身長の半分まで伸ばした銀髪と茶色のローブがどこかミステリアスに感じさせる美貌の持ち主だ。 

 スタイルは、オムニにはかなわないが、それでも並の男は、満足させれる程のナイスバディの持ち主である。

 いつも、優しくて甘やかしてくれ、楽なことが大好きな、楽観的な性格をしている。

 

 そんな彼女も……

 「お楽しみのとこすみません。現代の魔王の強さをその身を持って知って下さい」

 

 例にもれず人ではなく、魔王だった。

 彼女は、最近依頼で魔王城に言った時、日本のブラック企業が天国に思えるほどの環境で魔王をしており、彼女に届けた時、魔王を止めたいと泣きつかれ、郵便屋にスカウトした後、仲間になったのだ。

 

「さぁ、みんなで全力を叩き込むよ!」

 「「「了解!!!」」」

 

 「おい! あいつら、立ち向かおうとしているぞ!」

 「無茶だ! 今すぐ逃げろ! 勝てるわけがない!」

 

 「いくよ!」

 「「「「せーのっ!!!!」」」」

 パァァァン!!!

 「グォォォォォ!」

 

 四人の全力を受けた邪竜は、一撃で倒された。

 

 「さぁ、さっさと仕事終わらせて、皆でご飯を食べにいくよ!」

 そう言うと、四人は、光の速さで駆けていった。

 

「え……あれなんだったんだ、ほんとに現実か?」

「ほっぺつねっても痛いし、多分現実だろ、知らんけど」

「あいつら……やばすぎだろ……」

「だなぁ……」


仕事をさっさと終わらせた四人は、飯屋に入り、ジョッキ片手に騒いでいた。

「おいオムニ、この酒が飲めないってぇ? これだから、女神サマは」

「酒に飲まれるのも大概ですよ、インペラトル。酒に飲まれるなんてなんて馬鹿馬鹿しい」

「あの、二人共落ち着いて……」

「別にこう騒ぐ方が楽しいだろヘラゾ? それに今日、一仕事してくれたし。」

「ですが……」

「オムニ、インペラトル、やりなさい!」

「「??!! 了解!!」」

「え、ちょっと! 止めて下さい! あ、どこ触ってるんですか!」

「「「今夜は朝まで寝かせんぞ〜!!!」」」 


ご飯食べという名の飲み会は、全員がベロッべロッになるまで行われ、次の日、皆仲良く二日酔いになったという。



 

 


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