第十一話「絶対友政」
星を見て来いという美沙の命令を実行すべく、私はホームルーム直後に教室を飛び出した上で、校門前で彼を待ち伏せをした。
初めは「え、なにやってんの?」と困惑していた彼も(ひどい)、適当な理由をでっち上げて説明したら納得した。「用事があって」とか、「先生に呼び出されてて」なんて言葉を信じるあたり、彼もまだまだチョロい。……いや、単に鈍いだけか。
「——連れて行って欲しいんだよね、私を。尾樽に」
彼の表情は、私が「お願い」って言った途端にこわばった。正直に言うと、その時点でもうだめだと思ったけど、今更引くこともできずに言いきってしまった。
辺りはしんと静まった。後悔と希望がないまぜになって、どうにかなりそうだった。
おそるおそる彼の方を見ると、彼はさっきとは打って変わって安心したような面持ちで、「うん。いいよ」とだけ言った。
その言葉が、私にとってはどれだけ嬉しかったことか。
こうして私は、彼に初デートの約束を取り付けたのだった。
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