私と世界征服どっちが大切なの?

山親爺大将

第1話 異世界転移

「ん? ここはどこだ?」

「神くん、ここどこ?」

 うん、千華ちゃんは今日も可愛い


「うーん? 宮殿? 神殿? でもなんで僕たちここに居るんだろうね?」

 ちょっと嫌な予感がしてる。

 まさか、あり得ない事が起こったか?


「よくぞ召喚に応じた異界人よ!」

「うるせえ、そんなでかい声出さなくても聞こえてるぞ、ジジイ」


「ジ、ジジイ? 貴様!この国の宰相である私をジジイだと!」

「あー、五月蝿い五月蝿い! もうだいたい把握したわ……お前ら異世界から俺たち召喚しやがったな?」


「もう! 神くん! そういう汚い言葉使わないの! 神くんは凄く優しい人なのに誤解されちゃうでしょ!」

「ちーちゃんごめんねぇ、あのジ……年寄りが偉そうだからついカッとなって」


「ううん、良いの! 神くんが誤解されるのが嫌だっただけ」

「ありがとう! ちーちゃんは優しいなぁ」


「あーすまんが話を進めて良いか?」

「もう、状況把握したから説明要らんよ。

 ここは異世界、どうせ悪の勢力倒せっていうんだろ?」


「……そうだ」


「あー、あれかステータスオープンで自分のステータス見れるのか?」


 名前 御榊みさかきじん

 ランク Z

 クラス 荒御魂あらみたま

 スキル 銘肌鏤骨めいきるこつ

    八紘一宇はっこういちう


 出たわ、しかし四文字熟語か……この世界の人間は理解できるのか?

 俺自身はスキルの効果は直感的に把握出来るし、たとえ把握出来なかったとしてもこの程度の熟語なら理解出来るから問題ない。


『鑑定を刻みました』


 銘肌鏤骨が発動したな。

 と言う事は誰かが鑑定使ったか。


 それで、あの困惑って事は、四文字熟語理解出来てないな。

 やばい、思わず口角が上がりそうになった。


 これは利用できるな……。


「お前はどんなクラスでスキルはどういう物を持っている?」

「あん? お前呼ばわりされる筋合いねぇぞ?」


「もう! 神くん! 大人の人にはちゃんと敬語で話さないとダメでしょ!

 神くん頭良いのにバカな人に見えるから嫌いになりそう……」

「え! え! 待って! 嫌いにならないで!」


「じゃあ、ちゃんと敬語使ってくれる?」

「使う!」

「頭の良いカッコいい神くんで居てくれる?」

「もちろん!」

「だーいすき!」

「僕もだーいすき!」

 良かったぁ、嫌われてなくて良かったぁ。


 ちーちゃんとハグしながらホッとした。


「んっんん! もう良いかな?」

「あん?」

 俺とちーちゃんとの至福の時間を邪魔する奴は万死に値する!


「神くん?」

 おおっと。

「俺のクラスとスキルだ……でしたね」

「そうだ、ステータスは本人にしか見えないからな、申告してもらわないと確認しようがないのだ」

 こいつ、しれっと嘘つきやがった。

 うん、味方として信用出来ない事決定な。


「クラスですが、アラミタマですね」

「そんなクラス聞いた事ないぞ」


「私の世界では戦闘を行う者を表しますね。

 個人的な予想でしかありませんが、近接系の戦闘職だと思われます」

「そうか」


 嘘はついていないぞ、正確に言ってないだけで。

 信用出来ないやつに手札全部見せるほどバカじゃない。


「スキルですが、一つ目はメイキルコツで意味は忘れないと言う意味なので、何かを覚えるのにプラス補正があるのではないかと思われます。

 二つ目はハッコウイチウ、仲間にする的な意味ですので、テイマースキルでしょうね」


「では、お前はテイマーなのか?」

「じゃないですかね?」


 ジジイの視線がチラッと動く。

 俺のいってる事に嘘がないか調べさせてたんだろうな。

 その程度はやるだろうな。

 嘘は言ってないぞ、嘘はな。


「まぁ、いい、これから王に謁見してもらう。

 くれぐれも粗相の無いようにな」

 コイツの上司だろ?

 何も期待できないな。


 ー謁見の間ー

「その方たちが異界人か」


「らしいですね」

「王と勝手に会話するのではない!」

 めんどくせー。


「そこの女、立って服を脱げ」

「あん?」

「神くん! 大丈夫だから」

 俺たちは同じ施設で育った。

 未成年だから今でもそこで暮らしている。


 そこでは食費の足しに自家菜園をやっており、俺たちもそこの手伝いをするつもりで今はツナギの作業着だ。


 だからツナギの中に服は着ているのだが、薄くてぴっちりした服だ。

 彼女はスタイルが良い。

 更に艶やかな黒髪にパッチリした目、控えめに言って世界一可愛い。


 そんな女の子のボディラインが分かる姿を晒せという。

 こんな国など滅んで終えば良い!


「ふむ、気にいった! ワシの妾として後宮に入れてやろう」

「よし、殺そう」

 幸い、ここには農作業用のスコップがある。

 知ってるか? 俺の育った国には円匙術という、スコップで人を殺す格闘術があるんだぜ。

「待って神くん! 落ち着いて!」


 周囲が騒然とする。

「ワシを殺すだと! 不遜にも程があるわ! お前のようなヒョロガキに何が出来る!」

「何が出来るか試してみるか?」


「衛兵!」

 宰相のジジイが号令をかけた。

 一斉に周りから近衛兵たちが襲いかかる。


「さてと、何が出来るか試そうか?」

 周囲に転がる近衛兵は一人も殺してない。

 後で使えそうだからな。


「待って神くん、ここで騒ぐのはダメよ! 冷静に交渉して!」

「どいてちーちゃん! あの王様殺せない!」


「神くん、私のお願い聞いてくれないの?」

「でも、あんな事言ったんだよ! このままじゃ俺の腹の虫が治まらない!ー

「神くん? 私のお願いと貴方の腹の虫どっちが大切なの?」


「え、いやぁ、それは……」

「どっちが大切なの?」


「ちーちゃんだけど」

「じゃあ、お願い聞いて! 落ち着いて! ちゃんと交渉して!」


「……うん」

「神くんだーいすき! ほらこれでお腹の虫は治って」

 ちーちゃんは俺のお腹に軽くキスをしてくれた。


「ちーちゃん!」

「ちょっと、痛いよう、そんな強くハグしないで」

「あ、うんごめんね、俺もだーいすき!」

 国王! 命拾いしたな!


【後書き】

 お読み頂き、ありがとうございます。

 この作品はカクヨムコン参加作品です。

 カクヨムコンは星の獲得が非常に重要になりますので、少しでも入れて頂ければ作者は泣いて喜びます。

 長編も書いているので良ければ見てください!

 https://kakuyomu.jp/works/16818093081579462826


 この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と少しでも思ってくださった方は↓の『☆☆☆』を『★★★』に評価して下さると本当に助かります。

 よろしくお願いします。

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2024年12月2日 00:01
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