1391 帰って来ない親父さんと、不安になる倉津君
ひょんな事から出会う事に成った、沙那ちゃんと、その親父さん。
そこで沙那ちゃんが倉津君に懐いてる姿を見た親父さんは、飲み物を勧めて来て、買いに行ったのだが……何故か、帰って来ない(笑)
トラブル発生の予感か!!
***
……なんだ?
こりゃあ、一体、どうした事だ?
なんだか、またおかしな状況に成って来たもんだな。
いや、って言うのものな。
あの親父さん、飲み物を買いに行っただけの筈だって言うのに、何故か、あの父親さんは一向に帰って来る気配がないんだよ。
もぉ、そろそろ帰って来ても良い頃合いなんじゃねぇのか?
って言うか、結構な時間が経ってるって言うのに、まだ帰って来る気配すらないだよなぁ。
いやまぁ、そうは言ってもな。
これが俺一人で待ち惚けを喰らってるだけなら、ある程度は待てば良いだけだし。
いざとなれば、親父さんを放っておいて、その場から離れてしまえばいいだけの話なんで、さして問題はないんだがな。
此処には、そうはいかない問題がある。
なんと言っても、沙那ちゃんが居るからな。
こんな風に、ほぼ見知らぬ相手に娘を預けたまま、あの人、どんな遠くまで飲み物を買いに行ってるって言うんだよ?
特殊な飲み物を頼んだ訳でもないんだから、これ……明らかに、おかしいだろ。
・・・・・・
ヤバイ……なんか妙に不安になってきた。
まさかとは思うが、沙那ちゃんを置いて、どこかに行っちまった、なんて事はねぇだろうな?
そんな感じの状況なので、俺は、その辺の事を沙那ちゃんに聞いてみる事にした。
勿論、聞くと言っても、変に警戒されても困るから『軽く聞く』だけだぞ。
「なぁ、沙那ちゃん」
「うん?」
俺が声を掛けると、
俺の膝の上に座って足をパタパタ動かしながら、こちらにニコニコしながら振り向いた。
うん、可愛いな。
なんだ、この可愛い生き物は?
・・・・・・
いや、そうじゃなくてだな。
今は、そういう感想を心の中で呟きたいんじゃなくてだな。
沙那ちゃんの様子をキッチリ確認した上で、ちょっと質問をしてみたいだけなんだよな。
まぁ、そんな訳なんで。
取り敢えずは、質問をする前に、沙那ちゃんの様子を伺ってみたんだが。
そんな俺の不安を他所に、当の本人である沙那ちゃんは、あれから結構な時間が経ってるにも拘らず、その表情は明るく。
別に不安がってる様子が何処からも感じられない。
いや寧ろ、この状況下にあっても、警戒してる素振りすら見せてはいない。
おやまぁ。
……って事はなにか?
この家庭では、意外と、こう言う事が日常的に有るって事なのかのぉ?
んじゃまぁ、大丈夫そうなので、取り敢えず質問してみるか。
「お父さんの携帯番号って知ってるか?」
「うん。知ってる」
なら、これで一応は安心だな。
これで携帯番号を知らないとなると、色々厄介な事に成りそうだが。
最低限、沙那ちゃんが親父さんの携帯番号を知っているのであれば、どうやってでも連絡の取りようはあるからな。
いざとなれば、GPSシステムを使えば居場所は解るし。
それはまぁ、親父さんの携帯にGPS機能が付いていればの話だが……
「そっか。それにしてもお父さん、豪く遅いな」
「うん。そうだね。お父さん、多分、誰かに逢ったんじゃないかなぁ」
「誰かって、誰だ?」
「解んないけど。多分、会社の会社の人」
会社の会社の人とな?
なんか小学校低学年の子が言いそうな独特な言い回しだが、それって所謂、取引先の人間って事で良いんかな?
「ふ~~~ん。でも、こう言う事って良くあるのか?」
「うん。お父さん、チョコチョコと忙しいから、いつもこうだよ」
「そうなんか。けど沙那ちゃんは1人で不安じゃないのか?」
「全然。特に今日は、おにぃちゃんが一緒だから、安心♪」
そう言って、膝の上に乗ったまま、俺にギュッと抱き付いてきたんだけど。
うん、本当に、この子は可愛いな。
こんな可愛い事をされたら、誰も彼もがメロメロに成っちまいそうだな。
・・・・・・
いやいや、そうじゃなくてだな。
(↑本日2回目な俺)
なんかよぉ。
こうやって沙那ちゃんを膝の上に乗せながら話してるとな。
自分に娘が出来たら、こんな感じなのかな?って、ついつい想像しちまうよな。
しかも、こんな可愛い感じに育っちまったら、超溺愛しそうだしなぁ。
超親馬鹿っぽくなりそうじゃね俺?
(↑結局、沙那ちゃんに視点が行ってる俺)
まぁ故にだ。
そんな親馬鹿になりそうな俺としては、この子には、絶対、あの女みたいな最低な女だけには育って欲しくないな、って意志が強く働いてる。
そこだけは確実だな。
「そうか。けど、俺、怖くね?」
「怖くないよ。おにぃちゃん、優しくて、凄く格好良いもん!!」
「そうかぁ?」
「うん。特にね。楽器を演奏してる時のおにぃちゃんは、物凄く格好良い。世界一格好良い!!」
「そっ、そうか?」
「うん。だからね。沙那は、一杯おにぃちゃんの演奏を聞きたいから、ズッとベースを弾き続けてね」
「そっ、そうだな」
微妙だな、オイ。
実際の所、さっきの出来事のせいで、音楽自体は辞めないが、趣味程度に留めようと決意した所だしなぁ。
こりゃあ、どうしたもんだ?
ひょっとしてひょっとするんだが、それって、趣味程度の話でもOKな方向なのかな?
・・・・・・
いや、これは明らかに、どう考えても違う思考だよな。
言い方からして、なんか沙那ちゃんが求めてるものとは違う答えを出そうとしている様な気が、俺自身している。
じゃあ、絶対に違うな、これは。
「それでね。いつか沙那と一緒に、おっきいライブハウスで競演してね」
やっぱり違いましたな。
「おっきくないとダメか?」
「うん。【GREED-LUMP】がやった東京ドームみたいな、おっきいのが良い」
「それはまたデッカイ夢だな、オイ。まぁけど、そう成れる様に精々頑張ってみるわ」
「沙那との約束だよ。絶対の絶対に約束だよ」
眼を輝かせて、無茶な事を言うなぁ。
あぁけど、あれだよな。
動機がどうあれ、この沙那ちゃんとの約束があるなら、楽器を続ける理由にはなるし、活力にも成るだろうから、実に悪くない提案なのかもしれない。
しかも、この子が『ライブハウスで競演したい』って言う事は、なにか楽器が弾けるって事でもあるんだよな。
もしそうなら、この年で、なにか楽器が弾けるなんてスゲェな。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【後書き】
最後までお付き合い下さり、誠にありがとうございますです♪<(_ _)>
沙那ちゃん、早くも倉津君に懐いてますね(笑)
まぁ実際の話をすれば、普段の倉津君はポンコツなスットコドッコイですが。
それに反して、ベースを弾いてる姿は、かなり格好良いですし。
なにより優しく接してくれるので、沙那ちゃんが懐くのも頷ける話なのかもしれませんね。
そして倉津君も、そんな沙那ちゃんが可愛くて仕方がないみたいですし(笑)
さてさて、そんな風に2人してホッコリした雰囲気の中。
次回、親父さんは帰って来るのか?
そして、もし帰って来たとして、何故ジュースを買いに行くだけで、こんなに時間がかかってしまったのか?
……って言う部分を書いて行こうと思いますので。
良かったら、また遊びに来て下さいねぇ~~~(੭ु´・ω・`)੭ु⁾⁾
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます