前のエピソード――２月２３日・２４日・２５日

　あかなめ食堂の暖簾を割り、空いている椅子に腰をおろした。本日の朝定食は生鮭の照り焼きであった。これに炒り卵と大根の味噌汁が付く。食前に茶碗酒を呑(や)った。亭主が「良かったらどうぞ」と云いながら、作り立てのとりわさを出してくれた。鮮度抜群。旨い。まったくありがたいことである。

　壁面の埋め込み型テレビが「おばけの国の風景」を映していた。美しく清らかな映像の数々にすっかり魅了され、飲食を忘れるほどであった。あちらの世界には、独裁も侵略も戦争もない。そのような発想自体が存在しないのだ。ゆえに、かの地の平和は永遠に続くだろう。ああ、俺もあちらに住みたい。

　現実(うつつ)に戻ると、女性雑誌の日になっていた。何事もない平凡な朝。それが一番である。その他に何を望むと云うのか。洗面所に入り、顔を洗った。屋内の吊るしものを露台の竿に移した。台所に行き、電気ケトルにミネラル水を足した。沸き立ての湯で、即席コーヒーを淹れた。あわしま堂の「極味逸品黒糖クリームどら焼き」を食べながら、熱いやつを飲んだ。

　愛機起動。エキサイトとエブリスタを呼び出し、転載作業に没頭した。シャットダウン確認後、身支度を整えた。ジーンズ類以外の干しものを取り込んでから、家を離れた。ＮＨＫラジオ第１の『ＤＪ日本史』を聴きながら、貸しＤＶＤ屋に至る道を歩いた。着きざまに、借りていた円盤を返却箱におさめた。手続きを済ませてから、今週観る円盤を借りた。帰途、弁当屋に寄った。

　部屋に戻った。旧歩数計が「７７９２」を、新歩数計が「７７６９」を画面に刻んでいた。ジーンズを取り込んでから、腕立て伏せをやった。風呂場に入り、温水を浴びた。酒飯の後に、青春戯画の３枚目を鑑賞するつもりである。

♞トリスクラシックの水割り。蛸ぶつと三野菜の糠漬け。豚の生姜焼き弁当。

　河出文庫を開いた。春日太一の『時代劇は死なず！完全版』を読み始めた。終点下車。地上に出て、職場まで歩いた。売店に入り、朝食を買った。空いている卓席に陣取り、惣菜パンを食べた。ラジオを聴きながら、コーヒーを飲んだ。話題は「中国の動向」「子供のワクチン接種」「措置延長の意味」など。

　食堂に行き、Ａランチを買った。交換後、いつもの席に料理を運んだ。今日のＡはチーズハンバーグ、トマトソースがけ。小鉢はきんぴらごぼう。味はさておき、量的には標準に達していた。黙々と空腹を埋めた。トレイ返却後、休憩場所に移動した。長椅子に腰をおろし、時代劇の続き。読後、約十分仮眠。

　地元飲食街の居酒屋に足を進め、店頭に陳列されたテイクアウト商品を眺めた。接客担当のおにいさん、来月で辞めてしまうそうだ。理由については、あえて訊かなかった。帰途、コンビニに寄った。家に戻り、テープに録音した『オンザレディオ』を聴きながら、腕立て伏せをやった。風呂場に入り、温水を浴びた。酒飯の後に『湯けむりスナイパー』の第７話を観るつもりである。

♞酒はキンミヤの軟水割り。肴は刺身四種と鶏の空揚げ。飯はおにぎり二つ。

　渦の「批評の神さま」を読み始めた。終点の改札を抜けて、地上に出た。ラジオの電源を入れた。駅を離れ、職場に向かった。軍事侵攻の情報(続報)を聴くたびに絶望的な気分になる。この理不尽、この不条理。俺の頭では理解できぬ。唯一の心の救いは、全てのロシア人がプーチンカラーに染まっているわけではないことである。道中、ファーストフード屋に寄り、コーヒーを飲んだ。

　食堂の券売機に買物カードを挿し込み、Ａランチを選んだ。受け取りカウンターに行き、券と料理を交換した。壁際の席に座り、食事を始めた。今日のＡは揚げ置きコロッケ。小鉢はキャベツと塩昆布を和えたやつ。オカズ消滅後、残りの飯に味噌汁をぶっかけ、ザバザバと流し込んだ。休憩場所の長椅子に腰をおろし、時代劇の第一章「東映時代劇、テレビへ」の続き。読後、仮眠。

　地元駅下車。飲食街の居酒屋に足を進め、テイクアウト商品を二つ買った。帰途、スーパーに寄り、惣菜売場と弁当売場を眺めた。特に魅力は感じなかった。オンザレディオを聴きながら、腕立て伏せをやった。選曲テーマは、反戦歌。温水を浴びた。目薬を差してから、口中を嗽薬ですすいだ。酒飯の後に『湯けむりスナイパー』の第８話「脅迫」「退職刑事」を観るつもりである。

♞今宵の酒はキンミヤ焼酎の「天然水南アルプス」割り。肴は刺身と煮魚。