17 橿原 ――第一資料室――



 橿原が地下第一資料室の扉の傍で、一同を前に淡々とくちにする。

「―――八年前の事件で、毒が使われた事件、もしくは今回の事件と同じように、事件として最終的には処理されなかったものを探してください。その事件の周辺に、同じ名前があるはずです。斉藤さんと関さんは資料を、山下さんは神奈川に合わせて、近接する首都圏も含めてデータから読み出してください。まずは、東京二十三区から」

資料室に立つ関、斉藤、山下に橿原がいう。

「――けして犯人や容疑者といった目立つ部分にではなく」

橿原がしずかに言葉を切り、かれらを見る。

「その周辺に、高槻香奈、という名前が」

関が無言で棚から資料を取り出し、斉藤が受取る。山下が資料室の端末を操作して、検索条件を打ち込み始めて。

手分けして三人が資料を探し始める。








「はい、滝岡です」

病院の携帯通話可能区域で、滝岡が通話を受ける。

「滝岡君ですか?鷹城君の、―――」

「わかりました」

通話を切り、滝岡が鷹城の眠る病室の方へ顔を向ける。




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