13 鷹城秀一 ――戻る記憶――



病室で目を閉じて鷹城が溜息を吐いて左腕を掴む。薄青の病院着の袷から覗く肌も、首筋に浮く青い脈も、蒼褪めた顔色も。蒼白く褪めた肌に黒い睫毛の陰が落ちるのも、いまだ快復には遠いことを示している。

「…くそ、」

…僕は誰かに会いにあの村に行ったはずだ。

その他にはありえない、けど。…

頭痛がして額を押さえる。

僕は誰に会おうとしていたんだか?

それだけのことが思い出せない。

そして、その誰かに会ったとしたら、…俺を襲って、その川岸の小屋に監禁したのは?

断片的な光景が蘇る。

草地、背の高く伸びた草、…水の音、小屋の、―――――。

額を押さえて溜息を吐く。

ギブスが目に入り、それから吊るされた点滴のパックを見る。

そして、ベッドの脇にある机の引き出しを開けて、連絡用に貰った携帯を取り出していた。




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