元ギャンブラーの俺が異世界転生して、なんだかんだ魔王討伐を目指すおはなし。
£AlCarD£
第1話
俺は、一度人生に失敗した。
まぁ…簡単に一度とは言うが、30年生きた中で何度も他人を傷つけてしまったりだとか後悔は腐るほどあるからして中々一言で済ませされるものではないが。
色々あってもうどうにもならなくなった時、神様に出会った。
ーーー本当に神様かどうかは分からない。俺がそう決めつけているだけだ。
そいつは俺に新しい世界で人生をやり直すチャンスをくれた。
条件付きで…その条件は「魔王」を退治しろとのことだった。
俺は、またとないチャンスに二つ返事で承諾書にサインをした。
「頼む・・・頼む・・・ッ!ああ、くそ!!」
俺は転生先のモンロー共和国にあるハルマン店でスロットを回していた。
そして既にスカンピンである。
「んだよこれ!なにが機械割320%だよ!ボーナス払い出し50枚のくせに合算1/389とかパチこいてんじゃねぇぞ!」
※合算というのは、大当たりの抽選を受けるための回転数に対して実際に引いた大当たりの数を割った数字のことである。今回の場合389回転に1回の確率でしか大当たりを引けていない。
そして機械割というのは、ペイアウトの割合のことであり簡単に言うと今回の320%であれば10万円投資したとすれば確率が収束した際に32万円になって返ってくるということになる。
「くそ…俺の稼いだ金が…」
魔法やら何でもありの世界でこんなありえない数字を信じた俺がばかだった。
元いた世界に、もしこんな台が存在してたら全員スーツ着てパチ屋レベルだぞ。
「……。」
まだ昼過ぎ、庭先で奥様方がお布団をパンパンしている時間である。
この世界でのお金の稼ぎ方は、大まかに3つ。
一つはクエスト。
ギルド協会に赴いて張り出されている依頼の中から達成し報酬を受け取る。まぁありがちなやつだ。
もう一つもありがちで、道具屋やギルドでの買い取り。討伐したモンスターの素材や拾った薬草などを業者に買い取ってもらって通貨に換えてもらう。
最後は、普通に労働だ。
お屋敷の使いとして雇ってもらったり、鍛冶屋の親方に弟子入りしたり様々だ。
もちろんムフフな夜の店もある・・・。
「また薬草むしりに外に出るか…」
魔王を退治しろなんて大層な役割を押し付けた割には、俺に対する能力はちっぽけなものだった。
ーーーギルティラック。
対象に対して提示された確率で成功か否か、運命を委ねるいわば運試しだ。
俺にこんなスキル持たせるなんて嫌味か。
………まぁ、すごいことはすごいんだがな。
俺のLvが1だったとしても確率に勝ちさえすればLv999のドラゴンにだって勝てるんだから。
とはいえ天文学的な数字に命かける気はないから猫に小判みたいなもんだけどな。
そう。もちろんデメリットはある。
もし確率に負けて失敗した場合、更に半々の確率で死亡するか記憶を失う。
ありえないだろ流石に。
デメリットえぐすぎだろって。
いくら俺がギャンブラーだからってそれはないよ。
神様とおはなししたい。
「俺なにやってんだよ…せっかく人生やり直したってのに。」
そうは言っても魔王なんか勝てるわけないしな。
普通に考えて。
神様と最後に会ったのは転生した時、変な神殿みたいなところで承諾書にサインしたっきり、俺がこんなことやってても現れないんだから魔王退治しようがしまいが関係ない気もする。
「もう…あれしかないか…」
決意を固めた俺は、草むしりよろしく屈んで摘んでた薬草をポーチにしまいその場をあとにした。
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