膨らむ医療費、圧迫される家計の現状

星咲紗和（ほしざきさわ）

高齢化社会が進む中、私たちは医療費が家計に重くのしかかる現実を避けて通れなくなっています。特に、慢性疾患や定期的な治療が必要な病気を抱える家庭では、毎月の医療費が家計を圧迫し、その影響は日常生活にまで及びます。

例えば、糖尿病や腎臓病などの慢性疾患を持つ場合、医師の診察費や薬代だけでなく、透析やインスリン注射といった治療が定期的に必要です。一見、健康保険や高額療養費制度があるから安心と思われるかもしれません。しかし、実際には治療費だけでなく、通院のための交通費や必要な器具の購入費がかさみ、医療に関わる支出は多岐にわたります。

技術が進歩するほど、治療の選択肢は増え、より効果的な治療法が登場しますが、その分、治療費も高額化します。家族としては最善の治療を受けさせたい一方で、経済的な現実が立ちはだかります。「命には代えられない」と言われる言葉に納得しながらも、その裏にある経済的負担の重みを感じざるを得ません。

さらに、高齢化社会の影響で医療需要が増大する一方、保険制度の維持や医療費抑制が叫ばれる現代では、公的な支援にも限界があることを実感します。医療費を抑える取り組みが進んでいるとはいえ、個人や家庭に求められる自己負担は依然として重いものです。

膨れ上がる医療費の現実は、数字だけでは測れない家族のストレスや心理的な負担も伴います。健康を守るために必要な医療であっても、それが生活そのものを脅かす存在になり得るという現実を、私たちはどのように受け止めればいいのでしょうか。この問題は家族だけのものではなく、社会全体で考えるべき課題です。