君と見た宙

萩織 俊  hagiori syun

序章 敗退(萩野編)

「ゲームセットッ!!!!」


15分ほど続いた静寂は、試合終了の声で途切れた。とたん、自分の周りから歓声や甲高い叫び声などが耳に響く。

俺は、泣いていた。もう自分の体からは、何も出ないんじゃないかってほど、泣いた。散々泣いた後、


「集合、 団体カウント2対1で正央中学校の勝利です。礼」


「ありがとうございましたッ!!」


俺たちの学校は、負けた。全国に行ける一歩手前で、強豪校と当たって負けてしまった。中学三年間の成果を全て、出し切ったはずだったのに負けてしまった。その日は、一日中泣いた。引退をかけた最後の公式試合だったから、周りからは、"よく頑張ったね"や"今までよく頑張ってくれた。ありがとう"などの言葉をかけてくれる人もいたが、とにかく悔しくて苦しかった。その日に見た空は、なぜかいつもより濁っていて、綺麗とは言えなかった。



◇それから数日が経ち、学校に登校していると、後ろから話しかけられた。


「よっ!! 試合お疲れ様、惜しかったな。あと少しだったのに...テニスを知らない俺でもめっちゃすごいって思ったよ。あの時の翔太は、、めっちゃ輝いてたよ。」


話しかけてきたのは、小学校からの親友、尾原慶おはらけい。こいつは、別の部活なのに引退したからと、俺の試合をわざわざ見にきたバカだ。でも正直こいつが最後まで応援してくれていたから、頑張れたと思う。そんな彼に俺は、軽く挨拶して、学校の校門をくぐった。学校の教室に入った時、テニス部の同級生たちが、話しかけてきた。


「関東大会みたよ!! めっちゃかっこよかったな。」


「あとちょっとだったのに!! 惜しかった!! 翔太は頑張った!!」


などの声をかけてくれて、少し嬉しかった。


「ありがとう。お前らも最後までついてきてくれて、ありがとう。」


「全然、良いってことよ。最後まで翔太と試合ができてよかったよ!!」


こんな会話をしていると教室の扉がガラガラと音を出して開き、先生が入ってきた。


「お前ら、席につけ〜。ホームルームを始めるぞ。」


こんな感じで1日が始まった。 今日は、卒業間近ということで授業は、4限までしかなく、そのまま帰った。 家に帰ると見知らぬ人がリビングの椅子に座っていた。

男はこう名乗った。  国立 蓬ヶ原よもぎがはら学園のソフトテニス部顧問の"越智"とそんなすごい人がなんで家にいるんだろう?と思っていると、少し話をしよう。と言われたので越智さんとは、逆の席に座り、話を聞いた。


「君は、小倉学園中学校の萩野翔太はぎの しょうたくんであっているかい?」


「はい、」


「実は、君のテニスの試合を見て思ったんだが、よかったら、うちに来ないかい?学費やらなんやらは、こっちで保証するから。」


「ッッ!?」


あの蓬ヶ原にいけるだと、あそこは、全国の高校の中で上位6位以内には、毎回入っている、強豪校だぞ!? でも蓬ヶ原に行ける機会なんてないし、学費も保証、行くしかない!! 心の中で俺は強く決心した。


「決まったようだね。では、書類は作っておくよ。その代わり...」


「その代わり...?」


「必ず、スタメンに入ってくれよ。君には期待しているからね。」

「こんなチャンスなどないんだ、頑張ってくれよ。」


「はい! 絶対スタメン入って、活躍します。」


僕がそういうと、越智さんは、笑って家を出て行った。こんな機会ないしラッキーだ。でも、スタメンに入るとは言っても、全員バカみたいに強いんだぞ!?どうする、俺、一回落ち着こう... 僕は、机の上に置いてあったお茶を飲みながら、僕は考えた。 全員が強いなら、それを越えればいいんだよ。簡単な話じゃないか、全員を越えればいいそれだけの話だ。そう心の中で決めて、その後は何事もなく、夜になり布団に入って、寝た。それから、1月2月と過ぎていき、気づいたら入学する日が近づいてきて、ついに入学当日になった。金色の力強い紋章が付いた青色のブレザーを着て、


「行ってきます!!」


俺は、玄関の靴入れの上に置いてある父の写真に向かってそういい、家を出た


                         to be continued





この度、「君と見た宙」序章を読んでいただき、ありがとうございます。

この物語は、自慢の力作になると思いますので、

今後とも応援よろしくお願いいたします。


萩織






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