第39話 混沌を戦い抜く者たち・中編
第5回FLOW世界大会・DAY1 第一試合
第4リング収縮中 混沌開始1分 セントラル
『場所は北東の山から変わりまして、激戦の街セントラル!』
『ここは第3リングで全部入ってたことや、デカい建物・遮蔽が多いことでなかなか人が減らないんですよね』
実況・解説の言う通り、現在セントラルには計8パーティーが混在していた。
1チーム目──キノコ組
アジア大会1位通過
2チーム目──NK
アジア大会3位通過
3チーム目──
北米大会2位通過
4チーム目──
南米大会1位通過、第4回FLOW世界大会3位
5チーム目──
南米大会2位通過
6チーム目──
アフリカ大会2位通過
7チーム目──
ヨーロッパ大会1位通過、第4回FLOW世界大会4位
8チーム目──
ヨーロッパ大会2位通過、第4回FLOW世界大会5位
各地域の最上位勢が勢揃いしていた。
セントラルは第3リングまではほぼ確実にリング内となる。
そのため、移動をしなくていいという最高のメリットが存在する。
ただ、ここで問題となるのが、『生存ムーブ』をする人と『キルムーブ』をする人、そのどちらにも適しているということ。
どの立ち回りにも対応した街=実績のある最強プレイヤーが集まるということ。
なので、今回のように毎年最強が集まるのだ。
『最上位決戦とはまさしくこのことですね……!』
『えぇ。たしか、第4回FLOW世界大会での混沌は、上位5チームがいずれもセントラルに集まってたんですよね?』
『はい。よって今年もセントラルが鍵になるかと思われましたが、北東の山という異分子が来たおかげで戦力が二手に分かれましたね』
実況解説がListener向けの説明をする中、禁断の戦いが幕を開けていた。
MATCH UP!
cocktail VS QUANT
前回大会でそれぞれ世界3位と世界4位獲得した南米1位とヨーロッパ1位のバトルが始まっていたのだ。
混沌の
──一度会ってしまえば、どちらかが滅ぶまで戦うのが最善の手なのだ。
『おや……? これ、cocktailとQUANT同じビルにいるどころか、距離も近い……?』
そこで実況もようやくそれに気づき、セントラル全体の俯瞰カメラからcocktailチームに切り替えた。
『うお! 真っ白──スモークか……これ戦闘はじまってますね!』
『ま、マジかっ!! この2チームが混沌を耐えきれないとは……!』
:ええええええええ!?
:cocktailとQUANTがもう戦闘!?
:ってか、この2チームとも中心のビルなんだな
セントラルは円形の立地をした街である。
ちょうど中心に10階建ての1番大きなビルがあり、その周りも円形に道路が敷かれている。
その道路を挟んだ先に、5、6階建てのビルがいくつも立ち並んでいるという、近未来的な街だ。
また、中心のビルの屋上からは、高速で移動できるジップラインというものが、街の外まで何本も繋がっている。
そのため、いざというときに逃げるのにも使えるが、その分周りからのヘイトがかなり集まる。
中心のビルは物資の量もかなり多いが、混沌にはあまり向いていないのだ。
『中心のビルにこの2チームが集まるなんてことがあるのか……?』
『それにしても、残りの6チームは周りのビルにいい具合にバラけてるんですね』
『えっ……ほ、ほんとだ』
:これ仕組んでるんかってくらい分かれてるなw
:いやこれ、ほんとに仕組んでね?
:前回大会の上位者は混沌をセントラルで過ごす→はやめに陣取って戦ってもらおう!
:うわあああ!!ありそうううう!!!
:なにその激アツ展開!!
とはいえそれは推測の域を超えない。
真相は大会が終わって見返せば分かることだろう。
禁断の戦いは、中心のビルの6階で起こっていた。
1つの階層だがかなり広い。
階段を登ってすぐがオフィスとなっていて、柱やデスクテーブルなど遮蔽物もかなり多い。
また、その中にも、"会議室"や"応接間"など、部屋として区切られた空間も存在する。
階段のあたりにいるQUANTチームは、オフィスに蔓延しているスモークの中にグレネードを投げ込みながら駆け出した。
2チームとも索敵スキル使いはおらず、どちらも足音でしか特定できない。
そのため、QUANTチームはしゃがみながらスモークに入った。
『さぁQUANTが動き出した!』
『これ、場所の特定はできてないとといった感じですかね』
『おそらくそうみたいですね〜。対するcocktailチームはQUANTチームとは正反対の壁際に、張り付くようにして動かない』
このスモークはcocktailチームが焚いたもので、その効果がそろそろ切れるのだ。
『スモークは時間で効果が切れる。QUANTチームはそれに合わせて動いた、といったところでしょうか』
『あっ! cocktailチーム追加で投げましたね』
少しずつ視界が良好になろうというタイミングで、cocktailによりスモークが追加された。
:でもQUANTはスモークを投げた音でcocktailの場所特定できるよな?
:ほんまや
:いや、でも視界がまったく見えないことにら変わんねーから
:どうなんだこれ
FLOWには『投擲音』というものがある。
投擲物を投げたとき、放物線を描いてる間はそういう音が鳴り、地面に落ちたときにはコツン、と鳴る。
スモークはそのコツンと鳴ってすぐに効果を発揮する。
つまり、QUANTチームはcocktailチームの場所が分かったということ。
『しかし、その距離はまだかなり離れてますからね』
『えぇ、cocktailチームはしゃがんですれば衝突は避けられそう……』
『となると開戦はスモークが無くなってから──』
:このビル、ギリリングの外だからワンチャン間に合わんか
:2チームとも脱落ある!?
実況の言葉に視聴者も納得の色を示す中──事態は急激に進展した。
『おおお!! QUANTチームここで攻める!?』
QUANTチームの1人がFLOW最速のスキルを発動したのだ。
おそらくQUANTチームは音の反響でcocktailチームとの距離を把握している。
最速のスキルを発動した状態なら、数秒で行けることを理解しての発動だ。
事実、軽く助走をつけたQUANTの1人は慣性を活かした大ジャンプで一気にcocktailの元にたどり着く。
視界に入れた1人に向かってショットガンで戦う。
しかし、相手は前回大会3位。
QUANTよりも格上の相手なのだ。
ワンテンポ遅れながらも対面に応じた。
しかし、
『さすがのcocktailも、このワンテンポが致命傷となったか……!QUANTがcocktailチームの1人を倒し切る!!』
ショットガンを2発、しっかりと100ダメを超えたものを浴びせたQUANTがこの対面に勝つ。
だがここで、QUANTに問題が発生。
cocktailチームのもう1人が見当たらないのだ。
『──しかし!! cocktailも負けない!! まさかの室内ポータルでQUANTの仲間を奇襲!!』
cocktailチームはポータルスキル持ちを起用している。
無音・透明で裏を取ったcocktailチームは、QUANTの1人を倒しきった。
『どちらも奇襲が刺さり、人数は五分五分。しかしここで──スモークの効果が切れだしたか!?』
うっすらと晴れてきた視界。
cocktailもQUANTも、追加のスモークは持っていない。
拮抗した実力下における正面からの真っ向勝負、その勝敗を分けるのは──体力差であった。
『cocktailチーム、死んだ仲間の削りに助けられQUANTを倒し切る!!! 世界3位の二つ名は伊達じゃなかった!!!!』
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