第21話 元プロさん、武器を選ぶ
「チュートリアルは全員終わってるか?」
『はいっす!』
『やっとけって言われてたからなぁ』
『まさか買ったその日に終わらせろって言われるとは思ってませんでしたけど』
「よしよし、みんなナイス。それじゃ俺は終わってないからちょっと待ってて」
『『『は??????』』』
すごい、電話越しなのにこの部屋の気温が一気に下がった気がする。
やってるわけないじゃん。だって──俺だぞ?
俺は意気揚々とププラトゥーンを起動し、チュートリアルを始めた。
:おいこいつwwwww
:最強の新人、準備の出来なさも最強らしい()
:こいつさぁ……w
:悪びれもなく始めてんの草越えて森
:その森なんか寒そうだなw
なんかコメントでも散々言われたが、なるべく全速力でチュートリアルを終わらせた。
「よし、早速試合行くか!」
『『『ちょっと待て』』』
「ちょ、配信が進まないって!!」
『誰のセリフだと思ってるんすか!!』
「言われてるよさくち」
『は?』
「ありがとうございますっっっ!!」
『その極寒の「は?」…………よきかな』
『あおいちゃん、2人で遊びましょうか』
『いいっすね! なにするっすか?』
「ここ一応俺の配信なんだけど」
:草
:林
:森
:こいつら進度おせーw
:ゲームはクソ上手いのに配信下手ぁ……w
:コンビネーション抜群ですね、ダブルデートですか?
『『ち、が、い、ま、すっ!!!』』
「『全米が泣いた』」
:誰も泣かねえよ
しばらくして。比喩表現とかじゃなくて、ほんとにまあまあな時間が経ったのち。
:やりなさい
:そろそろやりなさい
:止めないと無限に続きそうだからやりなさい
「『『『はい…………』』』」
リスナーに止められたので、やることに。
「それじゃ、俺部屋つくるから入って来てもらっていい?」
『了解っす。暗証番号なんすか?』
「うーん、2222ていいだろ」
:2222把握
:さて、部屋入るか
:起動してて助かった
『なんで言っちゃうんすかレイさん!』
「…………くっ……! 嵌められた」
リスナーやるな…………元世界王者の俺を嵌めるなんて……。
『勝手に口滑っただけじゃないすか!』
「そうともいう」
『そうとしか言わないっすよ』
その後部屋を作り直し、無事4人が集まることができた。
ププラでは、最初に3個好きな武器を交換することができる。
FLOWと違い、キャラによっての特殊能力はなく、何種類もある武器から好きな武器を1つ選んで試合に行く。
武器の相性という要素と己のプレイスキルの2つが勝敗に大きく影響するため、キャッチーな裏腹かなり奥深いゲームなのだ。
ま、始めたばかりの俺たちはおもろそうな武器使って遊ぶだけなんだが。
「みんな何の武器使うんだ? 俺はこの
10ガロン。連射速度はそれなりにあり、さらに2発当てるだけで敵を倒すことができるという武器らしい。
その代わり
あ、世間の評価とかはもちろん知らない。
:ガロンいいね
:ちゃんと強い武器だ
:レイが持ったら前線荒らしそうだなw
:1番持たせたらダメなヤツに持たせてしまった
『俺はこのリトラ4kっていうスナイパーにしてみたぞ』
リトラ4kはスコープのついていないスナイパーで、ププラ内でも最高射程を誇る。
長距離から一撃で出来を葬ることが出来るが、撃てるようになるまでのチャージ時間と消費インクが激しいため、一撃一撃を大切にしないといけない。
:おいこれも持たせたらだめだろ
:ま、まぁFLOWとププラは違うし……(現実逃避)
:さて、あと2人は何かなー!(現実逃避)
:いい天気だ(現実逃避)
:現実逃避勢多すぎるってw
『うちはこの……クラッシュエクプロ?ってやつにしたっす! 試し撃ちが面白かったっす!』
弾が爆発するエクプロ系統の武器の中でも、最も連射速度が速い武器である。
その代わり射程とダメージが弱く、『おもちゃ武器』だとか『嫌がらせ武器』だとか言われてるのは、俺も聞いたことある。
:クラエクかぁ
:まぁ楽しいよな
:うん、楽しいよね
:※誰も強いとは言わない
:言うな
:までも、始めたばっかの今なら対処できない敵も多いんじゃね?
:いや、最初はレートの無い完全ランダムマッチの塗り合いバトルしかできないから……
:知る事も大切だ、うん!
『私はこのリトルワイパーというのを使います。水鉄砲以外もあるのも面白いですね』
ワイパー系統の中でも最も攻撃頻度が高く、それなりに火力も備えた武器だ。
銃のように"撃つ"のではなく、ワイパーを振った方向にインクを飛ばす武器で、『溜め切り』をするとさらに攻撃力が上がる。
また、近距離で『溜め切り』を敵に当てるとワンパンで倒すことができるため、遠近対応の武器だ。
:理由がかわいい
:さくらんが可愛い
:剣を構える美少女
:いいね(意味深)
:ふぅ
Ray:ふぅ
『私だけコメントがおかしいんですが』
「そうだぞお前ら」
『君のことですよ』
「やだ……『君』だなんて……!」
『もうやだ……』
:心の底からのもうやだでウケる
《あとがき》
どっかのelleのせいで物語進まない……。
次回やっと試合です。
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