アジア大会本戦編

第11話 元プロさん、どう動く?

配信はポツポツと頑張っていると、すぐに1週間がすぎた。

今日は、FLOWアジア大会本戦である。



aMa:準備できたか? イルゥ!!!!よ

elle:あぁ

elle:通話開くぞ?

aMa:了解

aMa:ついに反応されなくなったの悲しすぎる

elle:かまちょかよ

aMa:は?

elle:可愛いでちゅね〜



『ぶっ殺す』

「一言目殺害予告は怖すぎるって」


本戦開始まで、あと30分。


机の上にはエナドリも置いているし、今回はちゃんと早めに諸々の準備を終えている。


『配信するんだっけ』

「そ。今からつける」

『うい。すげーよな、FLOWのゴースティング対策』

「それな」


事前にスマホにダウンロードしていたとあるアプリと、FLOWのアカウントを連携しながら相槌を打つ。


このアプリ、大会出場者は必須のもので、なんと大会参加中は他のアプリを監視するという最先端の技術が詰まったものなのだ。


ゴースティング等、怪しい行動をした瞬間即BANされるという鉄壁の対策。


関係ないデバイスを使えばよくね?と考える人もいたが、どういう原理かその対策もばっちり。


詳しいことはなんも知らん。万能ってだけ分かってたらいいでしょ、うん。


そんなことを考えつつ、配信を始めた。


「うぃーっす」


:そんなことある?w

:あの……アジア大会本戦って聞いてたんですが……w

:この緊張感の無さよ

:こんにちは!


「こんちゃこんちゃ。それじゃアミア、ルール説明頼む」

『お前知らねえのかよ!?』

「っはは、おいおい俺を誰だと思ってる?」

『……たしかにお前が自分でルール調べてる姿想像できんわ』


はぁー、と分かりやすく大きなため息をつきながら、アミアは本戦のルール説明を始めてくれた。




FLOWアジア大会本戦 ルール説明


1.出場メンバー

 FLOWアジア大会本戦への出場資格は、予選で上位30位(計60人)のみ。


2.試合形式

 試合は合計4試合行う。メンバーは、出場資格を持った60人で固定である。

 ポイント形式は予選と同じ。


3.世界大会出場資格について

 世界大会への出場資格が得られるのは、アジア大会本戦からは上位6パーティー(12人)のみである。

 なお、


 アジア大会………………6パーティー(12人)

 ヨーロッパ大会…………7パーティー(14人)

 北米大会…………………7パーティー(14人)

 南米大会…………………5パーティー(10人)

 アフリカ大会……………5パーティー(10人)


 の計60人が世界大会に進むものとする。


4.詳細説明

……………………




『──ま、こんなところだな』


:あまあまasmr

:耳が癒された

Ray:ほわああああ!!

:きもっちいいぃぃぃぃ!!!


『お前らぶっ殺すぞ!?!?』

「そうだぞお前ら、人が嫌がることをするなよ」

『お前だよ!』


怒鳴られてしまった。


『それはそうと』

「許された」

『許してねーよ? んでさ、最初どこ降りる?』

「えっセントラル」

『やっぱ考えてねえよなぁ……』


いやいや、考えてるが? セントラル降りて無双する気満々だったんだけど。


『アジアはレベルが高いんだよ。シンプルに事故る可能性のほうが高いんだ』


:あー、それはあるよな

:無双してほしい気持ちもあるが、優勝してほしいからな

:セントラルは1番物資があるから人は多いもんな

:どーするんだろ


「え、じゃあさ──」

『おっとレイ、ストップだ。試合開始前は配信覗かれるからな』


あぁそうか。まだ降下被せられる可能性があるのか。


注意が足りなかったな。


「ということでみんな、本戦をお楽しみに」


:あの……

:あんたら強すぎて誰も被せんてw

:ツイッターで『初動公開してください。真反対に降りるので』って事前に言われてるレベルぞw

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