第9話 元プロさん、aMaさんを復活させる

「とまぁ、ただ適当に試合をこなして、軽く雑談するだけの初配信でも新しくていいかなとは思うんだが」


:あれで適当とか言っちゃうんですかレイさん

:キル数をちゃんと見てから言ってくださいまし?

:かる、く……?

:超重要秘密機密情報の間違いでは?

:秘密と機密が共存することなかなか無いんよ

:だがしかし一番正しい表現という

:なんですかその口ぶり

:まるでこれ以上のことを提供してくれるみたいな……え?

:これ以上があるとでも?

:レイならあるのかもしれねえ

:確かに


「まだあの程度なら、俺が『Rayである』という証明にはならないと思うんだ」


ただランクマッチで、キル多めにしてチャンピオン取っただけだもんな。知識披露するのは俺の競技人生に関わってくるから、あんまできねえし……。


:草

:あの程度……?

:十分すぎるって

:まぁでも、確かに大量キルチャンピオンなら他のSTAR SKYのメンバーにもいるよな

:(それはベテラン、この子初配信)

:あぁ……w

:そやった、これ初配信なんか

:ただのゲーム配信にしか思えなかった()

:声がいいから許せちゃう

:声フェチニキまだいた

:順調に同接も増えてる中で何をする気ですの!?


コメント欄の通り、なんとこの初配信の同接──つまり今見ている視聴者の数が、1万人を突破していた。


ただこれは、トップVTuberは登録者150万人を超えているというSTAR SKYの知名度と、『初配信があるときは、STAR SKYのライバーは配信しない』という方針が大きいだろう。


うむ、決して俺のインパクトが強いわけではないだろう。


だからこそ、リスナーを楽しませないと、だな!


:なんかすごく勘違いされてる気がするのですが

:奇遇だな、俺もだ

:トレンド入りしてること、多分気づいてないんだろうなぁ

:予選であれだけ暴れた本人です、って言って注目されないわけがないのになw


「それでは、俺が『Rayである』ことの証明だ!」


俺がそう言うと、ピロンと通話への入室音が配信上にも響いた。


『あの、もうちょい説明あってもいいんじゃね?』


:!?

:ふぁ!?

:こ、これ……

:この中性的で甘い声質なのにそれを感じさせないセリフ……

:一人称を僕にしてほしいランキング、堂々の1位……!


『おいお前らちょっとうるせえぞ……え、待ってそのランキング俺知らないんだけど』


:ま、間違いねえぞ!!!

:aMaだ!!

:第2回FLOW世界大会を優勝してからずっと姿をくらませていたaMaか!!

:ツイッター最後の更新がなんかの罰ゲームの『僕じゃ……だめですか?』で止まってるあの!?


『……おれ、かえりたい』






《あとがき》

日間2位ありがとうございます✨️

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る