第8話 元プロさん、初配信中

夏休み中の2週間というのは、恐ろしく早くすぎるもの。


そんな中、宿題やら所属の手続きやら打ち合わせやら……そんな忙しくしていたんだ。


初配信の準備何もしてなくても、しょうがないと思うんだ。


「えー、どもどもみんな。この度STAR SKYの3期生としてデビューさせていただく、壱和瑠いちわるレイと申すであります」


:はじめまして!

:はじめまして!

:イケボじゃねーか

:惚れてまう

:いや名前w

:計算できんのかい

:語尾どうなってんねんw


「まず始めに言わせてくれ。今この瞬間、世界で一番大事なことを言うぞ? ──俺は、何も準備をしていない」


:おい新人

:ネタ枠把握w

:イケメンはネタ枠化するって聞くけど、初っ端からネタ枠なのは珍しいな

:声がいいから許せちゃう

:じゃあなにすんの?


「おっ、いい質問だな。100万エグプチカソあげよう。まぁそれで何するかってことだが、ツイッターで質問募集したら『FLOWのRayですか?』って質問が多くてな。それについて答えていければと思ってる」


:草

:なんて?www

:知らない金出されても使えないんだよw

:ツイッター?

:おかしいな、俺の記憶が正しければこいつツイッターやってない気がするんだが

:安心しろ、ワイも見たことない

:おいこいつ初配信から虚構始めてんぞw

:ま、でもその質問自体はツイッターで上がってたやつだな

:実際どうなんだ?


「と、いうわけでゲーム画面へゴー」


:プレイで見せるってか!

:かっけぇ……

:というかもう本物ってことですよね


俺は配信画面をFLOWに切り替えた。


運営にもelleであることは明かしていないので、Rayのアカウントを選択した状態だった。


そして、早速ソロモードのプレイを始めた。


FLOWの1人ソロモードは、デュオやトリオモードと同じで1マッチに60人いる。


そして俺は当然。


「うっし、セントラルに行くべ」


:当たり前のように…w

:ってかランクなのか!

:ってか、降下うまwww


「降下そんな上手いか?


バンッ!


「これに関しては上手いというか」


ダダダダダッ!!


「理論的に研究すればみんな出来るんだよな」


ダダダッ! タッタッタ──バンッ!


「ちょっと差をつけるために詳しいことは言えないが、降下ってのは──」


カチッ、ヒュ〜────────ドーンッ!


「──ん? セントラル終わったか。続きは移動しながら話すが──」


:待て待て待て!!

:話が入ってこないww

:えっ、11キル?

:バグ?

:バグであってほしかったよな()

:うますんぎww

:降下よりもそのエイムが知りたい

:いやそれなww


「まぁそれで、降下は距離と角度を完璧に理解したうえで、あとは戦闘機の軌道を理解して──」


:おいレイー!!

:そこじゃないんだって!!

:たからキルはえーんだよwww


俺は雑談をしながら、27キルチャンピオンを勝ち取った。

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