ヨハン・クライフ のバルサ・ドリームチーム(no.25)

 YouTubeを探していて、ついに見つけました、ヨハン・クライフが率いた頃のバルセロナのビデオ、画像の解析度は酷いものですが、システムがよくわかり面白かったです。


 試合は優勝した頃の最終節、相手はスーケルやシメオネがいたセビーリャ、5−2で終わってましたが、途中までは拮抗した試合でした。後半の半分は他会場の試合を流していますが、バルサの当時のシステムはこれでもよくわかります。


 https://youtu.be/Ul-b6adXHcc


 守備のシステムは3人のユニットで連携とって地域を制圧する感じだったのですが、ボールホルダーに2人でかかって、1人がカバーに入る形、トライアングルが基本でフラットに3枚並べるのはあまり見ないようでした。


 試合はグァルディオラを中心にパスを回し、両サイドのストイチコフとラウドルップが得点し、ロマーリオも中央を破る形で決めています。1点勝ち越してからはクーマンが入りロマーリオが抜けて4−4−2のような形になったのでしょうか、カウンターが炸裂していました。


 印象に残った点をいくつか羅列します。


 どこから書いていいのかわかりませんが、パスで相手チームを崩す、というのが徹底されたチームのようでした。


 前線から言いましょうか。


 前線は左右のウィングとインサイドの2人のハーフ、それにふらふらとロマーリオが浮いています。印象的だったのはウィングとハーフの動き、彼らは釣瓶の動きをしています。つまりFWの位置の何人かが戻れば、中盤の何人かが背後から前線に飛び出して行く。


 ウィングが戻って相手のDFがラインを上げようとすると、中盤からインサイドハーフが飛び出して行く。逆も然り、インサイドハーフが戻っていけば、大外のスペースへウィングに開くパスをつける。ウィングとインサイドハーフは連携してパスを引き出していました。チップ系の浮き玉のパスで前に出すことが多いです。これらは特に前半の立ち上がりに顕著でした。


 単純にスルーパスを出すだけでなく、後方からフリック気味にインサイドハーフに当てて、ウィングの出るスペースへアバウトなボールを出す、という3人の連携したパス回しのパターンも組み合わせられていました。前線の動きが洗練されており、前にいくプレーがうまく組み合わされていました。


 フィニッシュはウィングとセンターが核、両ウイングが開いて両サイドを崩していきます。ウィングは中央へカットインしてシュートか、逆サイドのウィング、もしくはインサイドハーフにパスを合わせるのがパターンのようでした。ヴェルディでも、ファーから、ファーへというパターンがあるようですが、ファーでも、ファーのニアの位置と、ファーの少し戻しての位置、2パターン、2ポイントのターゲットがいるようでした。


 センターはウィングから入ってくるボールにミートするよりは、この試合では中央でポイントになったり、インサイドハーフの周りを回っていて、中央からサイドへ流れて、それを蹴り込む感じのプレーが多かったです。中央から外へ、外から中へどちらにせよ合わせるプレーがクライフのこの頃は多かったのかもしれません。


 しかしこのチームで一番印象的だったのはSBと3番(グァルディオラ)のプレーで、彼らがパスを回して相手のブロックを壊していました。


 バルサのシステムは2(CB2人)–3(3番と両SB)–2(インサイドハーフ2人)–3(両ウィング、センター)で、前線の2−3の5人はしきりに流動的に動き、前後に先ほど述べたように位置が少し入れ替わります(正確には前線の3枚が引いて2に吸収され、5トップのようになる)。このうち後ろから2番目の3、3番と両SBがスルーパスや前線へパスを当てて、試合を組み立てていました。


 パスの仕組みとしては、前方への選択として、①ウィングにつける、②チップで前線に飛び出させる、③インサイドハーフにつけるの3つのプレー選択肢で、これに3人内でパスを左右に動かしたり、CBにも協力を求めたりで組み立てていましたが、この3枚のパスを前につける力が高いので、このシステムが成り立っているようでした。


 中央の3番(グアルディオラ)はすべての選択肢が可能で、両サイドの①、②、③に、両CBの8つのパスコースを操ってゲームメークしていました。


 しかし両サイドのSBのゲームメーク力も侮れず、SBからスルーパスを出す、という考えがあるのだな、と考えさせられました。ここはヴェルディの改善点かもしれません。クーマンのCBからのロングフィードというのはこの変形であるだろうと推測されますが、しっかりは見ていません。


 インサイドハーフは、パスカットからカウンターの動きが秀逸で、中央へカットインして行く動きと絞ってからのスルーパスは、現在のウィングのカットインを想起させられますが、当時はウィングは開き、インサイドハーフは中へ入って行く、と、二つに役割が別れていた可能性もあるようです。


 後方での連携したパス回しといい、前線の波のように行き来する動きといい、当時としては斬新だったんだろうな、というか、今でも斬新です。


 何かの参考になるように、記して残しておきます。疲れました。

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