第29話、仲間との交流と小さなドタバタ

「今日も雨だね!」「ねー。俺の髪もくるくる〜」「瑞樹の髪をくるくるに〜」「さらさらストレートだよね、瑞樹」「うーん。おかしいな。私が晴れると思えば、だいたい晴れるんですが」「なにそれ、無理じゃない?」「あ?今週アニキ達テストだから雨だぞ」「おはよ、レオン。そっかー」


6月下旬、私も学院生活に慣れてきて、クラスメートとの距離が少しずつ縮まってきていると実感していた。


今日はエーテルギア作成の実習日。

朝から楽しみで、雨は気にならなかった。


「出来た!」『おお!』


実習で私は、小さな浮かぶ汽船をギアで作って、ぷかぷかと空中に浮かべることに成功した。


「すっご!?」

「よっし、出来た!」

『バシュ!』「あ」


レオンの虹色エーテル砲が空飛ぶ汽船にあたり、汽船がエドガーにぶつかってしまった。


「うわっ!?」「あ」


ぼふん。


配線剥き出しのコンダクターに液体のエーテルがかかってしまい、小さな爆発が起こった。


煙が上がり、思わず咳き込んでしまう。周りのクラスメートたちもびっくりした様子で一瞬沈黙したが、やがて笑いが起こり、皆で笑い合った。「ご、ごめん」「ごめん、俺のエーテルボールで」「た、タイミング合いすぎ!あ、ダメだ、笑いが止まらない、ププ」「瑞樹、すまない」「あはは!」


気持ちよく笑って、そのまま放課後になると、私は演劇部に顔を出した。すると祐二が「今から図書館に行くが、行くか?」と声をかけてきた。


私たちは一緒に図書館へ向かい、台本に書かれている歴史について、参考書を引っ張り出し、セリフの解釈について率直に語り合った。


議論がひと段落ついて、祐二をコーヒーに誘う。祐二はふと自販機でコーヒーのボタンを押しながら「俺は魔族のハーフだから、人間の寿命の半分くらいしか生きられないんだ」と溢した。


その言葉に、私は、まだ熱いコーヒーに目を落とした。私の対面に座った祐二の生きる時間が限られていることに、何も言えなかった。


日が落ちるまで演劇談義をした夕方の帰り道、リリーに偶然出会った。リリーが「せっかくだから一緒に夕食を」と誘ってくれたので、近くのレストランに入ることにした。


席につくと、リリーは早速「学生服、似合ってますね」と言って、私の学校生活について尋ねてきた。


私は少し照れくさくなりながらも、いろいろな出来事があったことを話し、私自身、学校生活を楽しんでいる自分に気がついた。


「今、楽しいんだ。ありがとう、リリー」と笑顔で答えると、リリーも微笑んで頷いてくれた。


食後の紅茶を飲みながら、学院生活の中で少しずつ増えていく思い出が、私にとっての「今」を輝かせてくれているような気がした。

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