俺が配属されたところは女性しかいない部隊でした

クククランダ

プロローグ


 ずっと昔、今より俺が子供だった頃に、俺はあることを決めた。


「なぁ、ラルク。俺は決めたぞ」

「決めたって何を決めたの?」

「俺は、異界探索隊に入る。この国に俺の名前を轟かせるんだ」


 俺は光り輝く月に手を伸ばして固く誓った。俺は自分の価値を証明したかった。


「ラルクも行こう。俺たちなら出来る!」

「アルバに誘われたなら断れないな。俺も行くよ」


 ラルクも俺の話に乗ってくれた。俺たちは誓いの証として拳を合わせた。



 それから、歳月は流れて俺たちは17になった。そして異界探索部隊の試験を受けて2人とも合格した。俺たちは祝いも兼ねて少し高い場所で飯を食うことにした。


「じゃ、どっちも合格したことを祝して、乾杯!」

「あぁ、乾杯!」


 その日は羽目を外しまくって食いまくって飲みまくった。人生で1番盛り上がった日だったと思う。


「はー、昨日は楽しかったなぁ」


 俺は支給された服を着て、本部へと向かう。その途中でラルクに会った。


「やっ、いよいよ今日からだね」

「そうだな、ここからが本番だ。俺たちはここから成り上がって行くぞ」


 俺たちは拳を合わせる。俺たちはまだスタートラインに立てただけだ。ここから俺たちはもっと努力をしないと駄目だ。


「やっぱ、でけぇな」


 一度来たとは言え、そのあまりのデカさに毎度圧倒されてしまうな。


「ほら、アルバ。早く行くよ」

「あぁ」


 俺はラルクの後を追いかけるように本部の中へと入っていく。中には俺たちと同じ、合格した新人たちが椅子に座っていた。俺たちも適当に空いていた椅子に座る。


「初めまして、私は探索隊総隊長のセリオス・クラーメルだ」


 壇上に出て来たのは4、50代の男性だ。歴戦の猛者のような顔つきだ。何もされていないのに威圧されている感じがする。


「さて、前置きなどは必要ないだろう。君たちがこれから配属される場所についてだが、もう既に君たちの手元にある」

「え?」


 どういうことだ? 既に手元にある? 周りもざわざわとしているし。俺たちは誰1人として、その意味が理解出来なかった。


「服の内側にある。そこに書いてある」

「「「「っ!?」」」」


 本当だ。服の内ポケットに白い紙が入っている。最初から入っていた? いや、それなら確認した時に気づく筈。ならさっきの間に入れたのか? だけどどうやって?


「アルバはどこだった? 俺は第二部隊」


 ラルクが俺に紙を見せて来た。俺はそこで考えるのをやめてラルクを見る。確か、第二部隊の隊長は優しくしてくれた男の人だったな。良いところに配属されたな。俺も自分のを見てみるか。


「俺は、第四部隊だな」

「え、すごい! 本当におめでとう!」


 ラルクは自分のことのように喜んでくれた。あの部隊はもう随分隊員を取っていないらしい。1人は絶対に隊員を入れないと駄目だったはずなのに取っていない。それが許される部隊なのだ。だけど、なんで俺が選ばれたんだ? いや、ここで考えても仕方ないか。


「じゃ、また後でな」

「うん、アルバも頑張りなよ」


 俺たちはお互いに指定されている場所に向かう。噂がデマであることを願うしかないな。


 



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