二季の憂鬱

Air

人々

 人々は寒さに凍え、夏を望んだ。しかし、いざ夏が到来すると、人々は真逆の冬を望んだ。

 四季が存在せず、二季のみの世界。そんな世界の神々は人々の為に四季を創る事にした。

 暖かな春、風の心地よい秋。どちらも夏と冬のバランスをとった季節を創る事にした。人々は新たな季節の訪れに大いに喜び、歓喜の宴を開いた。

 そして人々は言った。

「今度は夏と冬を無くして欲しい。そうすれば、我々はもっと豊かになり、住みやすくなる」と。

 そうして、神々は夏と冬を消し、春と秋のみが存在するニ季の世界を創り出した。

 しかし人々は言った。

「夏と冬が恋しい。春と秋だけじゃ緩やかな流れで、頭がボケてしまいそうだ。風物詩も減る」と。

 神々は呆れながらも、人々の為に季節を四季に戻した。かつての四季が戻ってきた人々は大いに喜んだ。

 それでも人々は言った。

「今度は春と秋を無くして欲しい。あの寒暖差が好きなんだ」と。

 そんなこんなで神々は二度と人々に干渉する事は無くなったという。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

二季の憂鬱 Air @yachirigi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ