アリスと魔水晶玉とパラシュートトレーニング
「えっほ! えっほ!」
学校に入学してから1ヶ月。
私は朝の日課にマラソンをするようになっていた。
冒険の授業でマラソンが始まって、最近では毎日走り込みをしているが、冒険者はとにかく体力と脚力が無いと話にならないらしい。
お母さんやお父さんも最初の頃は難敵と出会ったら挑むのではなく逃げ回った事も多かったらしい。
強い敵と出会ったら戦わずに逃げるのも長生きするためのコツなのだとか……。
そんな話を聞いてから私は毎朝町の中を走るようになった。
朝起きて、体操をして、走ってから軽くシャワーを浴びて朝食を食べて学校に行くのだ。
朝走っていると結構町に住んでいる冒険者の方と出会うことがある。
「おはようアリスちゃん」
「お姉さんおはようございます!」
「ようアリス!」
「お兄さんおはよー!」
朝の挨拶をしながら走るのが気持ち良い。
ただ冒険者は皆走っているかと言ったらそうでもない。
走っている人もいつも出会う固定メンバーだし……。
そんなマラソンを終えて、シャワーを浴び、朝食の時間。
今日の朝食はホロホロキジの目玉焼きとホロホロキジのレモン味噌焼きだ。
それをパンで食べる。
「神に感謝を」
「「神に感謝を」」
ご飯を食べる時の挨拶をしてから食べ始める。
鶏肉のジューシーな味わいがレモンの酸味で少し酸っぱく感じるが、それと味噌の味が合わさって食事が進む進む。
目玉焼きの半熟の黄身を崩してパンに付けて食べるとまろやかな味わいが口に広がる。
うん美味しい。
ペロリと丸いパンを3つ食べ終わり、食器を洗って学校に向かう準備を整え家を出る。
学校に到着するとメアリちゃんとアナちゃんが既に固まってお喋りしていた。
「メアリちゃん、アナちゃんおはよう!」
「おはようアリス!」
「おはようアリスちゃん」
そのまま時間になるまでお喋りをして掃除の時間が始まるのだった。
今日の魔法の授業は自身の属性を知ろうという授業だった。
皆コップに水を入れても疲れないくらい慣れてきたので魔力の放出をしても大丈夫と先生が判断したらしい。
先生は大きな魔水晶玉を持ってきて教卓に置き、触って魔力を流すと本人の持つ魔力属性事に光り輝くらしい。
複数個の魔力を持つ場合複数色の光を放つらしい。
まぁ大抵の人は1色から2色が殆どで、水属性の魔法使いなので水色の光を放つ。
食べる物や努力次第では2属性までは必ず増やせるし、私みたいに3属性とか4属性持っている人も努力次第で1属性から2属性増やせるらしいのであくまでこの水晶玉は現状の魔力属性を映すのみである。
メアリちゃんは水と光属性に適性があり、アナちゃんは水と氷、風属性の3属性に適性があった。
私も水晶玉に手をかざして魔力を流し込むと赤色、水色、黄色に光った。
お父さんやお母さんに言われていた通り炎、水、雷属性に適性があるみたいだ。
3色以上に光ったのはクラスでは私とアナちゃんだけだった。
そのため、3色で光った時にはクラスからおお! っと歓声が上がる。
アナちゃんは少しビクついて居たけど先生がしっかり記録していった。
この結果を元に魔法についての教科書を印刷して来月には配ってくれるらしい。
初歩的な属性魔法の勉強方法はワロン島ではもう確立されているのだとか……。
まぁ基本的に授業では水属性魔法を重点的に扱うと言われて、他の属性の魔法は自分で勉強して分からなくなったら先生に聞くのが普通なのだとか。
「ものの見事に被らなかったね」
「そうだね……ちょっと教え合うってのは難しいね」
「私光魔法を使えるみたいだから治癒魔法について勉強するね! 治癒魔法だと保険室の先生が詳しかったよね?」
メアリちゃんの光属性の治癒魔法は特殊で人体を回復させる魔法なので体の仕組みを詳しく知らないといけないし、光属性持ちは全体割合的に少ないので引く手あまただ。
なのでメアリちゃんは今日の放課後から保健室にて保健室の先生が主催する勉強会に光属性の適性があった子達と一緒に授業を受けるらしい。
メアリちゃんだけ居残り授業っていうのもあれなので、私とアナちゃんもジーク教官に冒険者になるための授業を居残りで受けていく。
「お、今日も来たか。ん? メアリはどうした?」
「メアリちゃん光属性の適性があったから保健室で居残り勉強」
「そうかそうか! じゃあ今日は2人だな。他の子もアリスとアナくらいやる気があれば鍛えがいがあるんだけどな」
「ジーク教官まずグラウンド走らそうとするからじゃない? というか放課後まで残って教官に教わる人の方が珍しいし……皆友達と遊んじゃうでしょ」
「確かに俺がガキの頃も殆ど遊んでいたな……まぁ良いや。とりあえずグランド5周走ってからスタートだ。体操するぞ」
体操をしてグランドを走る。
アナちゃんは少し足が遅く私よりもペースが遅いがちゃんと完走する。
アナちゃんは朝は食堂の手伝いがあるので走る事が出来ないが、家に帰ってから走るようにしているらしい。
「アナは前衛が向いているな。どっしり構えて相手の攻撃を受け切る前衛に向いてる。武器の希望とかあるのか?」
「武器……料理人をメインに戦う事になるから大鍋と包丁になるかと」
「料理人だとオーソドックスな武器構成だな。ただ合ってないと思ったら直ぐに言うんだぞ」
「はい!」
「アリスはガンナーだよな」
「うん。お母さんからしっかり仕込まれているし……」
「まぁ俺もアリスがガンナー以外やるの想像できないわ……まぁ使いたい武器をしっかり把握できているのは良いな。まぁ武器を扱うようになるのは来年からになるから……基礎体力向上のトレーニングばっかりで、悪いな」
「いや、ジーク教官がそれが大切と言うなら私達はしっかり受けるだけです!」
「真面目だな……よし今日はせっかくだから砂浜に行こうか。砂浜で走るトレーニングをしよう」
「砂浜で走るの?」
「ダンジョンの足場が硬い地面ばっかりというわけじゃないからな。砂浜みたいな足が取られる足場の事もあるし、沼地とかそういう事もあるからな」
「それに砂浜を走るって足を鍛えるのに効率が良いんだ。足場が不安定だから蹴り上げる力をいつも以上に必要とするからな」
「なるほど!」
「頑張ります!」
「とと、砂浜でのトレーニングはメアリが来たらだな。それまでは筋トレをするか。しっかりやっているか確認するぞ」
「「はーい!」」
こうしてメアリちゃんが来るまで筋トレをして時間を潰したのだった。
メアリちゃんと合流して砂浜でのトレーニングを始める。
「ジーク教官これは?」
ジーク教官は私達の腰に凧の様な物を括り付ける。
「パラシュートって言ってな数が用意できないから授業では出来ないがこれを腰に付けて走ると走る勢いでパラシュートが開いて凄い抵抗してくるんだ。走る勢いもいつもより出ないから難易度が上がるぞ。最初の目標は5分間パラシュートが地面につかないように走ることだ」
そう言われてスタートするがこれがなかなか難しい。
全力で走ればパラシュートは開いて空中に留まってくれるが、勢いを落としすぎると直ぐに地面に着きそうになる。
おそらく地面につかないようにするスピードと持久力が求められるトレーニングだ。
「あと2分」
残り2分になると皆バテバテである。
最後の力を振り絞って1分は耐えたが、私はパラシュートが落ちてしまい脱落してしまった。
メアリちゃんも耐えきれずに、最後まで残ったのは以外にもアナちゃんだけだった。
アナちゃんも時間が来たら頭から砂浜に突っ込んだけど。
「よーし5分休憩したらまたやるからな〜」
「「「は、はい……」」」
ジーク教官のトレーニングはスパルタであったが、決してやりきれないと思わせないギリギリのトレーニングばかりであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます