砂塵の望み
気まぐれなリス
プロローグ 「あなた」との出会い
走る、走る、暗い森を走る
優帝と言われた父は急に殺された
聖母と言われた母は私をかばって死んだ
父と母を守るのが仕事だった近衛兵はせめてもと私を守って死んだ
父の側近だった人たちは私にこの森に逃げるよう言って死んだ
私専属の騎士「アルベルト」は私が森まで逃げれるようにほかの騎士とともに城に残った
そのあとすぐに悲鳴が響きあったので彼もおそらく死んだ
皆を殺した「彼」は私を追ってはこなかった
それでも私は必死に逃げた
「彼」からではない
自分のせいでたくさんの人が死んだこと
そしてみんなを殺した人を招き入れたのはほかでもない私ということ
そのことを認めたくなくて
走って、走って、転んで、痛くて、それでも走って
必死に逃げて、大きな屋敷が見え、そして「あなた」がいた
「あなた」もこちらに気づく
「えっと…こんにちは。
…すみません、ひさしぶりに人が来たので緊張してて」
私は困惑した
私をここに逃がすためにみんな死んだのか
こんなところに逃がすために
それでもただただ安心した
ここなら、私を知らないならやり直せると
「私、家がなくて、何でもしますから住まわせてくれませんか」
そういうと「あなた」は困惑する
当然だ
面識もない人に突然こんなこと言われたら困るだろう
それでも後がない私はお願いするしかない
「お願いします、もう頼れるとこもなくて」
「あなた」は少し考えて
「じゃあここで働いてください
そしたらこの屋敷で住んでいいです」
それが私と「あなた」との出会い
「あなた」が消えるまでの私の幸せな10年間の始まり
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