忌み子は神から愛され旅をする
夜神 桃伽
【01】忌み子の誕生
ある小さな村。
この村は昔から双子の同性が産まれたら後に生まれた方が忌み子とする。というしきたりがある。
季節が変わろうとする時期。
小さな村の大きなお屋敷で産声が聞こえてきた。新しく生命が誕生した。産声をあげている赤子の夫婦はとても嬉しそうに笑っていた。妻の名前はアナスタシア・クローネ。夫の名前はシュラフ・クローネである。
「名前は何にしようか」
「あら、決めていたでしょう?女の子なら笑顔を絶やさず可憐に優しい心を持つように。セレナよ。」
「あぁ、そうだ。そうだったね。」
シュラフは嬉しそうに泣きそうになりながら待望の長女を抱いていた。アナスタシアもとても嬉しそうにしていた。だがその場の空気を壊すようにお産を手伝っていた産婆が鋭い声で言った。言ってしまったのだ。
「双子や、、!女の双子や!!!!」
その声を聞き今まさしくお祝いをしようとしてた村のものや村長大勢の人が押しかけてきた。
「なに!?双子だと!!!!」
「しかも双子の女の子、、!?」
「そんな、、、」「忌み子や、、、」
「忌み子が産まれてしもうた!!!!!!!!」
夫婦は驚いた。大勢の人が押しかけてきたこともそうだが何より自分の子供が忌み子だと言うことに。
夫婦は自分達が“愛している”子供の他にもう1人の女の子供がいると言うことに悪寒が走った。
「あぁ、あなた忌み子よ、、忌み子を産んでしまったわ、、、」
「分かっている。愛されない忌み子だ。神にお返ししよう。落ち着いたら村の奥にある崖に皆で行こう。」
「えぇ、、、」
夫婦は迷いなく後に生まれた子供を自分の子供ではないと思い愛情もあげずに崖から落とすことを決めた。
「あぁ、なんて愚かななんだろうか、同性の双子が産まれただけで殺気を放ち迷いもなく崖に落とすという考えを持つとは、、、」
『愛してあげよう』
誰かがそう言った。忌み子が産まれいつ崖に落とそうかと話し合いをしている愚かな大人達を見ながら呟いていた。
その姿を見ていたのはたった二人だけ。
愛されて育っていく子供と愛されずに殺されてしまう子供だった。
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