SNSを否定した僕がもし登録するなら、どれ使う?

星咲 紗和(ほしざき さわ)

本編

SNSというものにずっと否定的な僕が、「もし登録するとしたらどれを使うか?」を真剣に考えるというのは、なかなか奇妙な体験でした。結論から言えば、実際に登録する予定はないのですが、それでも「もしも」という仮定の中で自分の価値観や考え方を見直すきっかけにはなりました。


SNSを否定してきた理由は主に三つあります。

一つ目は、SNSがもたらす情報過多の問題です。SNSは便利なツールである反面、気づかぬうちに情報の洪水に飲み込まれてしまう危険性があります。次から次へと流れてくる投稿、膨大なコメント、他人の意見。それらに触れているうちに、自分自身の思考が薄まり、常に誰かの意見や感情に影響されるようになってしまう。僕はこれを非常に危険だと感じています。自分の感覚を守るためにも、なるべくそういった刺激から離れていたいのです。


二つ目は、SNS特有の「比較」の問題です。SNSでは、他人の成功や楽しそうな日常が簡単に見えてしまいます。その結果、自分と他人を比較してしまい、無意識に劣等感や焦燥感を抱くことがあります。もちろん、それをポジティブな刺激に変える人もいますが、僕にとってはただ疲弊する原因になるだけでした。


そして三つ目は、「注目を集める仕組み」そのものに居心地の悪さを感じていることです。SNSは、目立つ投稿や話題になりそうな意見が優先される場です。どれだけ自分が価値を感じた内容でも、それが他人に響かなければ埋もれてしまう。逆に、注目を集めるために意図的に誇張したり煽ったりするような投稿が目立つ現象もあります。この仕組みがどうしても性に合わないと感じています。


では、なぜ僕がそんな否定的な立場をとりながらも、「Bluesky」というSNSに少し興味を持ったのか。

それは、今のところ「治安」が悪くないように感じたからです。SNSの治安とは、僕にとって投稿者同士のやり取りやコメント欄の雰囲気のことを指します。多くのSNSでは、過剰な炎上や誹謗中傷が日常的に起こっています。それが原因で、多くの人が傷つき、時には命を絶つ選択をしてしまうこともある。そんな環境に身を置きたいとは思いません。


Blueskyは、まだ一般的に広く知られているSNSではありません。そのため、過度なユーザー数の増加や攻撃的なコミュニティ形成が抑えられているように感じました。これは、他のメジャーなSNSと比較して非常に平和的で魅力的な要素でした。また、無料で利用できる点もシンプルに魅力的です。僕にとっては「安定した平穏な環境」というのが重要であり、Blueskyはその点で一瞬「良いかな」と思わせるものがありました。


もし僕がBlueskyに登録するとしたら、どのように使うのかを考えてみました。

僕は文章を書くことが好きなので、創作活動に関する短いアイデアを投稿するかもしれません。あるいは、自分が興味を持ったテーマに限定して議論に参加する、といった使い方をするでしょう。とはいえ、今までSNSで失敗してきた人々の話をたくさん聞いてきたため、必要以上に深入りしないよう気をつけると思います。


しかし、やはり最終的には「登録しないだろうな」と感じています。SNSに興味を持った理由を振り返ると、僕が求めているのはSNSそのものではなく、「シンプルで平穏な繋がり」だったのだと思います。それは、必ずしもSNSという形でなくても実現できるはずです。現実世界の中でも、それに近いものを探し続ける方が自分には合っているような気がします。


このエッセイを書く中で、自分がどれほどSNSに対して否定的なのかを改めて実感しました。とはいえ、すべてのSNSを否定しているわけではなく、たとえば今回のBlueskyのように、平和的で限定的な使い方ができる場であれば、少しは考える余地があると感じました。


最終的な結論として、僕はまだSNSを始める準備ができていません。今のところ、自分の創作活動を大切にすることに集中したいです。しかし、このように「もしも」を想像することで、自分の価値観や判断を見直す良いきっかけになったのは確かです。たとえ登録しなくても、「自分にとって本当に大切なもの」を考えるきっかけとして、Blueskyに少し惹かれた経験は意義深いものでした。

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