怠惰を極める

怠惰

転生

「元気な男の子ですよ」


話し声が聞こえてくる。年配の女性の声だ。僕は少しずつ目を開けていく。

(あれ?知らない天井だ)

周りを見渡すとなんとも綺麗な顔立ちの美男美女がいた。北欧系だろうか?いやまぁそんな事はどうでもいい。さっきから僕が気になるのは知らないおばさんに抱きかかえられていることだ。


(おい!誰だあんた?)


一刻も速くこの魔の手から抜け出さないと

フンッ!フンッ!

くそ!どうしてだ!?体が思うように動かない。


体が思うように動かない恐怖と知らないおばさんに抱えられている恐怖で思わず泣いてしまう。


「おぎゃーおぎゃぁー」


「奥様、おめでとうございます。元気に生まれた奥様と旦那様の子ですよ」


うおぁ!どうしてだ…僕は今このおばさんから先程の美女の方へ差し出されている。

ん?おいおいおい、困っちまうぜ。そこの美女なんか胸が大きいぞ?それこそスイカとまでは行かないがメロンのようだ。


「ああ、ああ!本当によく頑張ってくれた!アイシル!愛しているぞ!」

「私もよ、あなた!」


アイシル…どうやら僕の母親であろう人物の名前

そしてもう一人この筋骨隆々な男が僕の父親か…


………あのぉ~すいませ~ん。僕のこと忘れてませんか〜?いや、そんなことよりさぁ。僕赤子じゃない?え?これって噂の転生っていうやつですか?ついに一般商業化しちゃいましたか?


お~い……だめだもう2人の世界に入っている。ていうか入り浸ってます。普通赤子を放置するか?ったく〜


というか、どうしてこんなことになったんだよ!


うーん確か……僕は19歳で不治の病に罹ってそれでそのまま死んじゃったんだっけ。

そしていま赤ん坊に転生してしまったと、うん。ここまではいい。


だけどなんで僕なんだ?確かに僕は天寿を全うしたとは言えない。だけど僕よりもっとひどい死に方をした人は大勢いるはずだ。


うん!考えていてもよく分かりません!神様に僕が選ばれたということで…


あれなんだか急に眠くなってきた………

そうか赤子は体力が無いんだ…そんなことを考えながら僕の意識はなくなった


そうして、僕「アル=ビーステッド」の第二の人生が始まった

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