ぼっか

@hagichan-yorison-mitsu

憂鬱な朝

「松村君、呼び出された理由は分かっているね?」


いつもはまだ登校していない時間に、

俺は担任に呼び出されて職員室にいた。

先生は白髪交じりの髪を撫でながら、そう問いかける。


「その顔はよく分かっていないという顔だね、ふむ…」


先生は少し考えるような素振りで近くにあった紙を俺の前に広げる。


「これで、思い出すことができたかな?

 入学して3週間、未だにこれを出してないのは君だけだよ」


そう言って先生が差し出してきた紙には入部届の3文字が踊っていた。


 「わかっていると思うが、

 この学校では全員が何かの部活に所属することになっているんだ。」


そういえばそんな話もあったな、と思いながら適当に謝っておく


「すんません」

「どうかね、何か興味のある部活はないのか?」

「ないっす…」


中学で俺は野球部に入っていたが、体育会系の雰囲気に馴染めず

部活に行かなくなってしまった。


「それでは、体を動かすことは好きなのかい?」


「まぁ…」


「体を動かす事が好きなら、今日の放課後、もう一度私のところに来なさい。

君に紹介したい部活があるんだ、きっと気に入ってくれると思うよ。」


そういって、先生は仕事に戻っていってしまった。



あぁ、憂鬱だ


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ぼっか @hagichan-yorison-mitsu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る