警察先生と天才生徒
橋本衣
第1話 最初の事件
「ぇ?新プロジェクト出て来た課に配属ですか?」
「俺と先輩がですか?」
「あぁ、2人一緒にな、、、、と言ってもたまに一課の方に借り出て貰ったりするがな」
「はい、えっといつから、」
「来週からだ。とりあえず、明日のうちにその課の課長となった人を紹介するから、」
「この資料に目を通しておく様に」
「分かりました」
「了解です!」
俺こと、
「新プロジェクト・特別特定学園教員プロジェクト。別名・警察先生。特定の学校で教員として警察官が潜入し働く。その学校の生徒達を見て、その学校の問題や生徒達の素行回復などを目的としている。って、書かれてますね」
「あぁ、だから、俺らか。一応俺は体育と国語の教員免許、真斗が」
「美術と家庭科の免許持ってます!」
「でも、このプロジェクトどっか裏ありそうなんだよなぁ。何で、俺らなんだろうな。まっ、気にしてもしょうがないか」
何て、話していたら、
「茶野警部!橙野警部補!殺人です!それも学校の教員殺人です!」
そう刑事の1人に言われ、俺達はすぐに現場に向かった。
「デカいな。
「大丈夫ですよ!先輩、俺大人ですよ!」
陽が差し掛かる朝、大きく綺麗な校門の前に立っている俺達は立っている。
あれからすぐに真斗と一緒に、現場に来た。真斗は高校時代からの後輩で関西弁を喋る子犬みたいな存在。
今日は、都内にあるお金持ち学校で殺人事件が発生し、俺らが呼ばれた。
俺らは早速、手袋を手に付けながら、遺体がある中等部、高等部の職員室に素早く向かった。
「お疲れ様、」
「お疲れ、諸々の指紋採取とかしたから、あとは何でもしろよ」
「サンキュ」
知り合いの鑑識に声をかけて、ビニールシートがかけられている頭から血を流している遺体に手を合わせて、他の刑事に情報を聞いた橙野に声をかける。
「真斗、
「えっと、
「
「教員、事務員達のアリバイは?」
「全員、昨日は8時前には帰宅している事が分かっていますが、警備員はその時間、居たらしいですね」
「そうか、後で事情を聞いてみるか」
すると、俺は後ろから気配を感じ、後ろを振り返り見ると初老の男性が立っていた。その顔は少しオドオドしている。
「あの、
「あ、こんにちは。校長先生、遺体を発見した当時の状況をお聞かせください」
「そうですね、朝の7時半前に学校に着きた時、職員室の鍵が開いていたのに気づいて、すぐに開けて中を確認した時に、発見しました。荒らされている形跡もなくって感じでしたね」
「そうですか、あ、あと、つかぬ事を聞きますが、被害者、新藤さんを恨んでいる人が居たりしませんか?」
「いえ、新藤先生は、教師からも生徒からも信頼されていて、大学卒業と同時にこの学校の先生になって、ずっとこの学校に居ますし、誰に対しても優しくそして頼りになる先生です」
「人柄も優れていて、誰からも恨まれる様な事をする様な人ではありませんね」
「そうですか。ご協力ありがとうございます」
俺と真斗は校長に一礼してから歩き始める。
「にしても、恨まれる様な人でもないのに何で殺されてしまったんやろ」
「そうだな、とりあえず、警備員の所に行くか」
「、、あ、あの、良ければなんですが、刑事さん達この学校の生徒会の生徒達に会いに行ってみてはどうですか?」
職員室から出ようとすると、校長先生から声をかけられた。俺らは立ち止まって校長先生に顔を向ける。
「?それは、どう言う?何故、生徒会の生徒達に?」
「その、昨日は生徒会の生徒全員が8時過ぎまで学校に居たみたいで、もしかしたら何か、知っているかも知れないと、思って」
「そんな夜遅くまであったりするん?」
「新学期が近いと言う事もあってか、忙しいらしく、連日遅くまでいる事が多いんですよ」
「分かりました。聞いて来ますね」
「では、
そう言って校長先生は校長室に向かい、職員室から出たら、他の教員達がこちらを見て話していたので、声をかけた。
ヒソヒソ ヒソヒソ
「あの、失礼ですが、貴方達は?」
「へっ?あ、私は教頭をしています、
「お、俺は体育教師の
「養護教諭をさせて貰ってます、
「数学教師の
「あの、事件当時は何をしていましたか?」
「私は家族のもとに帰っていますよ。家の監視カメラにも映っているはずですし」
「お、俺は近くのフィットネスジムに行ってましたよ。会員証の記録にもしっかりと証拠が残っているはず」
「私もファミレスでご飯を食べていたはずです」
「店員さんに聞けば分かると思いますよ」
「僕も家族の夜ご飯を食べていましたよ」
「家に防犯カメラが付いているので、証拠もあります」
「そうですか、何か分かったら俺達に気軽に言ってください」
「では、失礼します」
「失礼します!」
怪しい雰囲気だったが、しっかりとしたアリバイを言ってきた事もあり、俺達は警備員の休憩室の所に向かった。
コンコン
「は〜い、どうぞ」
ガチャ
「失礼します。すいません、刑事の茶野です。昨夜、警備をしていた人はどなたですか?」
「お、俺です」
そう言って手を上げたのは二十代後半ぐらいの男性だった。
「すいませんが、昨夜の警備の事を聞かせて貰っても?」
「は、はい。外でも、良いですか?」
「えぇ、それで良いですよ」
外に出て、俺らは青年に事情聴取を始める。
「あ、俺は
「それで、昨夜の8時から9時までは何をしてましたか?」
「8時から9時までは中等部の校舎を重点的に警備をしてましたね。体育館だったりしてましたね」
「それを証明する物などありますか?」
「ちょっと待ってください。会社から支給されてるスマホが常にGPS付いてて、その時間何処にいたか、表示されると思います」
「中等部の校舎か、、、、ありがとうございます。他に、その時間、怪しい人物を見たりしませんでしたか?」
「いえ、特には、生徒会の生徒達が居た以外には怪しくはなかったですね」
「そうですか。ご協力ありがとうございます」
「では、僕は仕事に戻りますね」
「はい、どうぞ」
そう言って、警備室へと戻る
「先輩、次は生徒会の生徒達ですか?」
「ん、そうだな。何か、見てるかも知れないし」
「ですね!」
そして、俺らはその足ですぐに高等部の生徒会室へと向かった。生徒会室と書かれた看板に、あまり人が通らない場所に位置している部屋に見えた。
「此処か?」
「何か、凄い感じしますね!」
生徒会室の扉を叩こうと扉に近づこうとすると、後ろから聞き慣れない少年の声に、声をかけられた。
「、、、、お兄さん達誰ですか?」
「!!?、、ぇ、俺は警視庁捜査一課の刑事で茶野直人と言います。こっちは」
「同じく刑事の橙野真斗って言います!」
後ろに居たのは、小柄で綺麗な顔をした少年だった。気配を全く気付かなかったから、少しビックリしたが、生徒会の人かと思い驚きながらもすぐに自己紹介をした。
すると、少年も一瞬驚いた顔をしながらも冷静さを取り戻して、俺達の目を見て声を出した。
「僕はこの学校の生徒会長の1人で
「、、、、もしかして、刑事さん達、
そう言う少年こと、
「話が早くて、助かるよ。校長先生から昨夜、君達生徒会の生徒達が
「警備員の人もその時間居たって言ってたから、何か知っとるんやないかなって思ってな」
「確かにその時間、居ましたね。此処では何なので、とりあえず、中に入ってください。他の1人居るんで」
言いながら、生徒会室の扉を開ける白雪君。そして、扉の先に居たのは。
「
「刑事さんだよ。邦宏先生の事件のことで、話が聞きたいみたい」
縦型と机に1人座っていた。顔は大人っぽく白雪君より年上だとすぐに分かった。周りを見たら、他に誰も居なく、俺は質問をした。
「他の生徒会のメンバーは?」
「あぁ、他のみんなはちょと色々あって、ぁ、って言っても元気なんで」
「そうか」
「それで、お2人って刑事さんで邦宏先生の事、調べてるんですか?」
「うん、ほら僕と
「そう言われたらそうだったね。ぁ、
笑顔でブイッとピースをして自己紹介をする黄咲君。
「早速で何やけど、昨夜の8時から9時までの間に不審な人物や声を見たり聞いたりせんかったか?」
「いえ、特には、此処から職員室は歩いても近い距離にあったんですけどね」
「あ、どうぞ、お座りください」
「ありがとう、そうして貰うよ」
そう、黄咲君に言われ俺と真斗は、紅茶が置かれた席に座った。黄咲君は立ち上がって紅茶を入れてくれて、俺らの前に置いてくれた。
「でもさ、何で邦宏先生が殺されないといけなかったんだろ?」
「確かに、あんな優しい人が何で?恨みの線は絶対ないんだろうけど」
「そもそもの話、何で殺す事になったのかも気になるし」
「恨みの線はないのか、、、、真斗これは、どう思、、何してんだ?」
生徒達の話をメモにしながら、真斗に声をかけると、真斗はパソコンの画面をずっと見ていた。
「先輩、これって、この学校の様子が写ってる」
「あぁ、それは学校全体に配置されている監視カメラの中身が見れるんですよ。俺達が管理任されてて」
「!!それなら、昨夜の事件当時の映像が映ってるんじゃ!」
黄咲君の発言で咄嗟に立ち上がって声を出してしまったが、白雪君がこちらを見て、即座に否定した。
「ないんですよ。昨日から一昨日までの映像、それも職員室の映像だけが全て消されてて、今日確認しようとしたら、既になかったんです」
「そんな、それじゃ」
そう言われ、脱力したかの様に椅子に再び座ると、黄咲君に優しく話しかけられた。
「ま、映像が消えたとしても、データ自体が完全に消えた訳ではないんですよね」
「何処かにデータが残ってるかもだから、復旧自体は可能だと思いますよ」
「映像は僕達が登校するまでの間に誰かが消したんでしょうね」
「2人共なんか、冷静やね。俺やったら普通に驚くで」
「普通じゃないですかね?」
あまりの生徒達の冷静さにツッコんだ真斗は置いておいたら、白雪君が平然な顔で言う。
その近くに居て、俺と真斗をずっとじっと見て来て居た、黄咲君と白雪君の所に行き、こちらをチラチラと見ながら、話して居た。
「〜〜〜、別に、〜〜〜〜〜〜、〜〜〜〜〜〜〜〜」
「〜〜〜〜〜〜、〜〜大丈夫〜〜〜〜、〜〜〜〜」
「〜〜、〜〜〜〜〜、」
「〜〜〜〜〜〜、〜〜〜、〜〜〜〜〜〜〜」
「〜〜、そっか、分かったよ」
「ありがと」
気になったりしたが、聞いてはいけないと思い、目を逸らして少しした後、いつの間にか戻って来た黄咲君が声を出した。
「、ぁ、そう言えば最近、学校の帳簿類に気になる書類が複数あるんですよね」
「あ〜、あの毎月各部活の活動費が5年前から妙に増えてるってやつ?」
「5年前まで、部活動の活動費が1人、年間5万円だったんですが、それ以降は8万円と一気に3万円も増えていて」
そう言いながらたくさんの資料が入っている棚から書類の一部を持って来て、黄咲君。書類には不自然と思えるほど、お金の減り増えが伺える。これは、横領の可能性が分かってしまった。
「それに、給食費、学年積立金、教材費などの費用が、改ざんされてるっぽくてさ」
「あ、あと、不可解な部活の備品を買う為のお金とかそれに、学校のお金がちょと計算が合わないんだよね〜」
「確かに、少しの差の時もあれば、大きな差額の時もあったりするし」
「これって、やっぱり横領なんじゃ」
俺達が少し喋らないだけで、2人は話しているので、話に入らない俺らは紅茶を啜る。
「あ、それに、立華!最近学校の備品がなくなってる事があるんだよね!窃盗とかかな?」
「それ、犯罪じゃん」
「
「ん?何だ」
「いや、この2人すっごく大人っぽいなって思っちゃって」
「確かに、だけど子供っぽいところもまだまだ、ありそうだけどな」
「俺もそれはそう思いますよ」
何て、小声で2人で喋っていると、隣に座っているはずの白雪君の声があまり聞こえなかったのが、気になり、隣を見ると考えている顔で一点を見つめていたかと思えば、何かを閃いたのか、こちらを勢いよく見てきて、声を発した。
「!あの、刑事さん達、協力しませんか!?」
「!!っ、きょ、協力?」
突然の事で戸惑ってしまいながら声を出した。だけど、白雪君は冷静な声で発言を止めない。
「はい、僕達は今回の殺人事件の犯人を探すのを協力、お2人には横領かも知れない事件の犯人を捕まえるのを協力してください!」
「捜査に子供を巻き込んだりするのは、」
最後まで言い終わる前に黄咲君が横から手を上げ、冷静な声で話し始めた。
「俺達の方がこの学校の仕組み、構造を理解してますし、それに僕達だからそこしか出来ない事だってあります」
「それに、邦宏先生は僕達にとっては大切な恩師の1人です。殺した犯人を捕まえたいって思いは誰にも負けません!」
「このまま、犯人が捕まらないもの嫌だし、それなら俺らが捕まえたいな」
そう言って2人は俺の顔を強くそして真剣な眼差しで見てきて、その目は大切な人を亡くし、しっかりと悔しいと感じている目だった、それに挙げ句の果てには隣の後輩も、、、、
「君達、そのまで、!先輩、協力しましょ!(泣)」
半泣き状態だし
「、、、、はぁ、分かったよ。一課長の説得は俺がしとく、ただし、危険なことはしない事だ、分かったな?」
「「はーい/はい」」
そして、白雪君は笑顔でだけど大人っぽい雰囲気を纏いながら、自己紹介をし始める。
「じゃ、そうと決まったら、自己紹介しましょ!」
「まずは僕から、高1で高等部第一生徒会長の白雪六華です」
白雪君が自己紹介をした後、隣にいた黄咲君が、
「高3で高等部生徒会副会長の黄咲三織です!」
そう笑顔で自己紹介をしてきて俺達の番が回って来た。
「捜査一課所属、刑事の茶野直人です。これからどうぞよろしく」
「同じく!捜査一課所属、刑事の橙野真斗です!皆、気軽に真斗刑事って呼んでな!」
・・・
そして、自己紹介をしてこの日は一旦解散となった。まぁ、白雪君達は今日もまだ学校で用事があるからなって思いながら、学校に止めてある車に乗り込む。
「先輩、警視庁に戻るんですか?」
「いや、法医学教室行くぞ」
「えっ?ぁ、新藤さんの司法解剖が終わったんですね」
「そう、結果聞きに、今から行くぞ」
「了解です」
そう言って、真斗が車を30分近く走らせ、良く使用している大学の法医学教室に足を向かわせた。大学と少し離れた教室に着き、ドアを叩く。
コンコン
「はーい」
ガチャ
「お疲れ様です」
「お、直人に真斗じゃん。何、結果なら他の刑事に言ったけど?」
扉を開けた瞬間、コーヒーを口にしながら、俺達に声をかけたのは、今回、新藤さんの司法解剖を行った、
見た目は爽やか系だが、ちょと胡散臭い部分があったりする。
「結果は、
「俺も俺も!!」
「はいはい、ちょと待ってな」
そう言ったかと思えば、コーヒを置き机の資料を取り、こちらに近づいてきた謙也さん。
「えっと、新藤さんの死因は、後頭部に鈍器の様なものによる強い衝撃、殴られた事による死亡だな」
「そうか 「あ、あと」 あと?」
「2箇所殴られた所あったろ?」
そう言いながら殴られた所の写真をホワイトボードに付けて、2つの傷跡に赤い丸線を書く謙也さん。
「まず、こっちの傷は、傷の深さは比較的に浅いが傷の幅は広い」
「で、こっちの傷は、傷の深さが陥没していると分かるぐらい深くだが傷の幅は狭い。因みに、死因となった傷は後半の傷」
「確かに、言われてみれば違う傷跡」
「そう、それで調べてみたら2つの傷跡はどちらも違う凶器を使っている」
そう淡々と言いながら、もう1つの書類を持って来て、俺達に渡して来た謙也さん。
「そしてもう1つ言いたいのは、この2つ傷を付けられた時間は1時間弱違うんだよ」
そう真面目な顔で言い、俺は強い衝撃が頭の中で受けた。どう言う事だ。犯人は違う時間で2回攻撃したってことか?いや、それは違う、それにそれなら、同じ凶器を使うはずだ。まさか、いや、んな訳、、、、
何て、頭の中で色々考えていたら、真斗が声をかけてきた。
「先輩、それってもしかして」
「あぁ、この事件、2人の犯人が居るかも知れない」
どうやら、俺達は難しい事件に立ち会ってしまったのかも知れないと、心の中で思う。
そして、これが俺、直人と真斗が天才達との出会いになり、そして、次々といろんな事件に巻き込まれる序章に過ぎない事はまだ、この時の俺達は知る由もないのだ。
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