第四話 初配信(2)

【初配信】天野星奈の初配信ですよー。

『 START DASH/天野星奈』

10万人が視聴中


【待機画面の時点で既に十万人…。】

【これもう新人じゃないでしょ!】

【わんちゃん唯一のまとも枠説ある?】

【いや多分駆け出してるでしょw】

【駆け出すてwww】


うーん。はい。

私の初配信だけ同接おかしくないですか?

なんで有名でもない新人Vtuberの初配信に十万人も同接者がいるんですか。

気にしたら負け!と言うことで,少々緊張しながらも私はマイクをONにした。


「こんほしー。START DASHの天野星奈だよー。みんなよろしくねー。」


【こんほしー】

【こんほし。すごいな。チャンネル設立からわずか2時間で登録者2万人だって。】

【こんほし。早速チャンネル登録しました!他の3人も楽しみです!】


意外にもリスナーさん達は優しく,私の想像していたアンチで荒れまくっていたりはしなかった。

ちなみに他の3人は裏で初配信を見てくれているようです。


「今日は自己紹介をして,ファンネームとその他諸々のタグ設定とかしていくよー。」


【ん?意外と真面目…?】

【他の3人がおかしいだけでこれが普通だよw】

【それに動じない時点で結構強者だけどねw】

【ツワモノやめいw】


「じゃあまずはみなさんお待ちかねの立ち絵から!」


そう言って私はマウスを動かして徐々に立ち絵を見せていく。

星奈の立ち絵は全体的に私に似ていて髪色なんかはほとんど同じだ。

服装は高校の制服である。星型のヘアピンがチャームポイントだ。


【おお!!めっちゃ可愛い!】

【清楚ぉぉぉぉぉぉぉ!!】

【あー!いけません!清楚な高校生は罪じゃないのですよー!神よ!どうかおゆるしをーーーー!】

【変態はゴーバック】

【草w】


うんうん。

1つ既視感のあるコメントがあるけど気にしない気にしない!

次に私は自己紹介をした。


「それじゃあ自己紹介をしていくね。私の名前は天野星奈です。年齢は秘密で身長は152センチです!好きな食べ物はヨーグルトで,嫌いな食べ物はレバーです。」


【お,中身もまともな子だ!】

【清楚なVtuberと聞いて。チャンネル登録しました。】

【趣味とかはありますか?】

【休日の過ごし方!】


などといっぱい質問が出たのでそれらは後日答えていくと言うことで一旦まとめた。


「じゃあ次にいろんなタグとか決めていこうか。」


そうやって考えながらリスナーの方々と雑談しているといつの間にか1時間も過ぎていた。


「それじゃあ時間もいいところだからこれで終わりにするねー。また次の配信でお会いましょう!それじゃあ,おつほしー。」


【おつほしー】

【おつほしー】

【おつほしー】


みんなのコメントを一通り見終えてから,私は枠を閉じた。


 翌日の昼休み,私たち幼馴染組は学校の屋上に昼食を食べるために来ていた。

そこで風鈴ちゃんが申し訳なさそうに謝ってくる。


「ごめんな,昨日は。急遽仕事が入ってしまって…。」


それに続いて碧ちゃんと妃織ちゃんも謝ってきた。

私はおかず一品を条件に許すことにした。


「星乃の配信のコメント見てて思ったんだけどさ。私たちSTART DASHって会社なのか?」


「わかんない。」


「確かにそう言われてみればどうなんだろう。碧ちゃんそこのところどうなの?」


「あぁ。その話を今日はしようと思っていたんだけど…。」


そう言って碧ちゃんは真面目な表情になる。


「会社として起業するか。このままVtuberグループとして活動していくのか。みんなはどっちがいい?」


そんなの私の中ですでに答えは決まっている。

みんなも同じ考えのようだ。


「「起業するでしょ!」」

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