神さまが転生させてくれるって言ったので全力で応えてやりました
讃岐うどん
プロローグ
早速だけど、ボクは死んだ。
死因? しょうもない事だよ。
ワザワザ話す事でもない。
と言うか、話したくない。
そして、今ボクは困り果てているんだ。
「さて、どうしますか?
そうやって上から目線で……いや、物理的に上からモノ言ってる人がいた。
人? 天使のような羽を生やして、如何にも聖書の神みたいなヤツだ。
「どうするって……」
暗い暗い世界に立つ。唯一の光である彼女は、ニコっと微笑み、両手を広げた。
「このまま修羅の地獄を歩むか、転生して第二の人生を過ごすか」
「何でそんな極端なの!?」
修羅の地獄。嫌だ。言葉だけでわかる。絶対碌なモノじゃない。
かと言って……。
「転生って、何?」
そう言うと彼女は両手をパン、と叩いた。
すると、彼女の手のひらから小さな渦が出現した。その渦は蒼色で、水晶のようだった。
「文字通りですよ。此処とは別の世界で、第二の人生を歩む」
「……」
第二の人生……。
悪くない提案だ。いや、最高かも。
でも、幾つか気になることがある。
「……『ボク』はどうなるの?」
一つは、記憶だ。『ボク』を『ボク』として在らせる、核と呼ぶべきモノ。
もし、それが失われるのなら……。
「いえ。心配はありませんよ。アナタの記憶も人格も、そのままです。そのままに、新たな命として産まれます」
それは安心だ。ようやく、ボクが人になれる。
「身体は?」
「後天的に成るモノは保証出来ませんが、先天的なモノは『普通』に創りました」
「!」
普通。その意味は、ボクが1番理解している。
ずっと、遠くの星のように、届かなかった。
それを、それを……!
「……乗った」
「決めましたか」
ボクは、転生する!
第二の人生を……今度こそ!
彼女は聞くと、手のひらの渦を大きくした。
その渦は螺旋状で複雑に回転しており、膨張と共に密度が小さくなっていった。
「この渦に入れば、手続きは完了です」
そう言って、彼女はまた微笑む。
微笑みに釣られ、ボクも笑った。
「……昔読んだマンガだとさ、転生には最強の能力が〜ってあったンだけど……ボクには?」
「? ありませんよ」
「え!?」
渦に入る直前、そんな事を言われた。
でも、足は止まらない。もう既に、片足が螺旋にめり込んでいたのだから。
「では、頑張ってくださいね、夜衣」
「うん、ありがとう。ええと……」
右半身が渦の中に入った。
「セツリ」
「ありがとう、セツリさん!」
そう言って、ボクは渦の中に入り込んだ。
行こう、異世界へ!
「ああ、彼には申し訳ない事をしました」
「転生の刻、できるだけのサポートはしたのですが……言い忘れていました」
「修羅の地獄の方が、マシだと思える世界である事を」
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