10

「今日、一人で眠れそうにない」

「だから、きよらちゃん、一緒に寝てくれない?」



 初めてのちゃん呼び!?

 こうくん、わたしに甘えてくれてる!?



「……うん、いいよ」



 そう、約束してわたしもシャワーを浴び、心の準備をして、

 こうくんの部屋のベットで一緒に寝る。


「こうやって寝るの、初めてだな」


「うん」


 布団、こうくんの甘い香りに包まれていて、


 ドキドキで、

 今日はわたしも眠れそうにない。


 夜長くなりそうだし、

 今ならずっと聞きたかったこと聞けそう。



「あの、今更だけど……、なんで、わたしを拾ってくれたの?」



「悪女扱いされてて辛いのに俺が体調悪かった時に気づいてくれて保健室まで付き添ってくれた」


 わたしは驚く。

「え、そんなの別にわたしじゃなくても良かったんじゃ……」


「お前だけだった、気づいてくれたの」

「他の奴らが見てるのは俺の表面だけ。お前は俺のぜんぶを見てくれた」


 わたしの顔が熱くなる。

「そんな、大げさな……」


「大げさじゃないよ。今日だって俺の為にソフトクリーム被ったり、ドリア作って頑張ってくれただろ?」


 こうくんはわたしの顔をじっと見つめる。



「きよらはさ、なんでそんなに頑張ってくれるの?」



 ずっとこうくんの悪女でいたいから、なんて厚かましくて言えない。



こうくんはわたしを救ってくれた恩人だから」



 そう答えると、こうくんはどこか寂しそうに笑う。


 わたしも切ない気持ちになり、ぎゅっと布団を掴む。

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