第三章 終幕篇
Episode 23 クラスメイトとの再会
転移魔法で送られたのは先日俺が入った『古竜の巣』の入り口前だった。
懐かしい景色が広がっているが、シェネルの姿は見えない。
まあ俺が今探さなきゃいけないのはシェネルではない。『古竜の巣』を破壊しようとするやつを倒さないといけないんだ。
こんなところに普通は人はいないはず。
なら人の姿が見えた瞬間、それが敵だと思っても良いだろう。
「ここか?『古竜の巣』は?」
「ああ、そうだろうな」
「他の山に紛れてて分かりづらいな」
「そうか?1番高いし分かるだろ」
「まあな」
「そんなことより、早くやりなさいよ」
「分かったよ。とはいってもこんな大きな山を破壊ってどうやればいいんだ」
そんな話し声が聞こえてくる。
間違いない、敵だ。
いや、確かにね。俺も思うよ、どうやってこんな山壊すんだってね。
「誰だ!?」
気づかれたようだ。
だが俺も相手の姿は認識できた。
距離にして100メートル。
一流の魔法使いの攻撃なら届いてもおかしくない距離感だが。
今の段階で俺にアドバンテージがあるとすればまだ相手は俺を敵として認識していないことか。
強そうとした迷宮にたまたまいた冒険者とでも思って流石に攻撃はしてこな・・・・・・
「っ!?は?」
咄嗟に避けたからよかったものの、直撃してたら大怪我だぞ。
何をやっているんだあいつらは。
一般人に魔法ぶっ放してるのヤバすぎるだろ。
「貴様が魔王の手先か!僕らは勇者!
魔王の巣窟だという『古竜の巣』を破壊しに来た!」
リーダーのような男が大声で叫んでいる。
魔王?の巣窟が『古竜の巣』?
もしかして、そういう年頃なのかな。
自分は勇者だ!とか言ってるし。可哀想に。
いきなり魔法飛ばされたから起こりそうだけど、そういう可哀想な人なのか。大きくなっても悪である魔王を勇者である自分が懲らしめる!みたいな妄想をしてるんだろう。
厨二病というやつだな。
とは言っても敵だということには変わりない。
悪いが倒させてもらうぞ、厨二病!
茶番は置いといて、あの男、どこか既視感がある。それに紅一点の女は懐かしい感じがする。
知り合いか?でもこの世界に知り合いなんて・・・・・
向かってくるやつらの顔というか髪、黒だ。
こっちの世界にいる髪色が黒の既視感のあるやつら。
そんなの・・・・・あいつらしかいないに決まっているじゃないか。
俺の、クラスメイト。
確かにあの第二王女は魔王がどうのこうの言っていた。だとしたら彼らから『魔王』という言葉が出てもおかしくはない。
まあ、『魔王の手先』なんてのは誤解なんだけどね。とりあえず知らない人ではなかったし、彼らなら話せば分かるだろう。
そう思いながら、俺は彼らに近づく。
1人が魔法を打ってくるがちゃんと避けながら進み続ける。
「待ってくれ!俺は敵じゃない!」
いや待て。
俺に与えられた試練は『古竜の巣』を破壊しようとする連中を倒すこと………
まあ和解して破壊をやめてもらえればいいか。
「ん?その髪色・・・・・」
「声もどこかで聞いたような・・・・・」
距離が近くなってお互いの姿がある程度近くなると向こうも俺のことを認識しようとしている。
再会だな。
まあ俺を追放したのは第二王女であるミーシャだし、彼らじゃない。恨む筋合いはないか。
「久しぶり、俺のこと覚えてるか?藤原伊吹だ」
俺は彼らに再会の言葉をかけた。
そして彼らはーー
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