ステータスに縛られない俺は無限に成長し無双するー異世界に召喚されたがステータスが無いだけで無能と言われ追放された。みんなはステータスに成長限界があるらしいけど俺はそんなの知りませんー

玉塵

第一章 新異世界生活篇

Episode 1 クラスごと異世界召喚!?



 ーーイブキ・フジワラ様。

申し訳ありませんが、あなたは我がキルス王国には必要ありません。早々にお立ち去りください」


 俺こと藤原伊吹は唐突に追放を告げられた。


 そして追放を告げているのはキルス王国第二王女ミーシャ・ラクラス・キルスだ。


 なぜキルス王国やミーシャなんたらなんて名前の存在が多い欧風な空間で俺みたいな東洋風の名前のやつがいるかって?

 一応言っとくが、旅行じゃないぞ。

旅行に行って追放ってどんな状況なんだろう。


 召喚されたんだ。

異世界に。というか、キルス王国に。


「・・・なんで?」


 不思議と、悲しみや疎外感は全く感じなかった。

いや、不思議ではないか。


 さっきまでは不安だったものの、いざこう言われればこんな国のこと、もうどうでもよくなった気がする。


 別に愛着のある場所でも、大切な人間でもないやつに追放されたところで何も感じない。


 ただ勝手に召喚しといて追放とは随分と身勝手だなと多少の憤りは覚えた。


「なんでって?それは先程言った通りイブキ様は我らキルス王国には必要な人材ではなかったからです。申し訳ありません」


 その丁寧な口調の裏に、俺のことを見下す気持ちがあるのは軽く見透かせる。


 特に『必要な人材ではなかった』という言葉にその見下した気持ちの片鱗を感じる。


「そうですか、なら元の世界に送り返してもらえませんか?あなたたちに必要ないのですよね?」


 元の世界に戻してもらうことを要求するのは当然の権利だろう。


 俺は家に帰って1人でまったり最近話題のアニメ『呪◯廻戦』を見たいんだ!


「それが残念ながら、私たちは召喚することはできても、送り返すことはできないのです」


 なんというポンコツ野郎どもだ。


 しかもこんな時に限ってミーシャが嘘をついている様子はない。 


「え、おいマジかよ」

「俺は今日発売の漫画買う予定だったのに」

「今日私の推しがテレビに出るのに〜」


 キルス王国が簡単に俺を捨てようとしているのには理由がある。それが彼らだ。


 彼らは俺のクラスメイトであり、先程俺と同じように召喚された。


「みんな落ち着こう!ミーシャさんたちはキルス王国を助けて欲しいと言っていた!だとしたら僕らは彼らを助けるべきじゃないかな?」


 例えば、これ、おっと失礼、彼。

まさに主人公と言った感じの正義漢である御剣優弥君。


「うーん、御剣がそういうなら・・・」

「私も優弥君がそういうならキルス王国に協力しようかな・・・」

「私も〜」


 御剣優弥はクラスの中心人物であり、彼に好意を抱いている女子がほとんどだ。


 そんな彼がそういえばこの世界にいることに不満を抱いていたクラスメイトたちも、キルス王国を助けようという方向に行く。


 王国を助けるとかの話は少し待って欲しいな。

今は絶賛俺の追放劇の最中なんだ。


「皆さん、ありがとうございます。特に【勇者】のユウヤ様にそう言っていただけて嬉しいです!」


 そう言ってミーシャは豊満な胸部を強調して優弥に見せつける。ここでさらに優弥の気持ちを王国に傾けさせるためか。


 それは置いといて、

今ミーシャが言ったように御剣は【勇者】である。

他にも【賢者】【聖女】など、いろんなやつがいる。


 それらは『祝福』と呼ばれる。

召喚された時の特典のようなもので、女神からもらえるらしい。


 本当のことかは分からないが。

だって、俺は自分の祝福がなんなのか分からないのだから。



「あ、でも藤原ってどうすんだ?」

「そりゃ、論外だろ。あいつもう追放されてんだぜ」「祝福ないとかとんだハズレ人間だな」


 聞こえてくる侮辱の声。ただ心に響かない。


 茜は、どう思っているのだろう。

俺の幼馴染である白瀬茜は、どう言った気持ちでこの状況を見ているのだろう。


 悲しんでくれているだろうか。

 どうでもいいと思っているだろうか。

 寂しく思っていてくれたら、少しだけ嬉しい。


 今はもう追放されたゆえ、こうするしかない。


「俺は言う通りキルス王宮を去ろう。じゃあな」


 少しだけカッコつけて言ってみた。


 別にこの国にも、あいつらクラスメイトにも大した愛着はない。


 追放されるなら俺は一人で気ままに生きていくだけだ。地球に戻れないのはめんどくさいが、仕方がない。


 地球に戻れる方法を見つけるのも面白そうだ。


 そうして、俺の異世界ライフがスタートした。

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