ゼッケン3番 吉田池子

 吉田池子 32歳 独身 一般人参加者(芸人・つづらオサムの妻)


 女性初の1stクリアなるか? 時間は100秒になる。


【本編】


 クワッドステップス。ここまで快調。ささっと進み切るのが当初からの作戦だった。ふっ、私の研究網をなめんなよ。


 ローリングヒル。こういうのはささっと行くが吉! 体が踊るように跳ねた。


 ふぅ、シルクスライダー時点で残りは89秒、なかなかいい動きしてるぞ、私。


 次はシルクスライダー。とにかく力を入れて、足をばたつかせる。自然の拷問みたい。ぱっと手を放す。早すぎたかな?……いや、成功だ。


 残りは67秒。ここでフィッシュボーン。私は修羅を潜り抜けてきた女。テツ君の3本目なんか……プリンのように揺れて、忌々しいなこれ。


 さて、逆回転は、跳ぶのを軽くしながら――さらにしゃがむ! セーフ。


 おt、ここまでで最優秀成績は私。今日は調子がいい。


「ツインダイヤ跳んでいった~!」


 実況の声が心地いい。意外と回転が速い。ちょっと私無理ですー、なんて今更言えない。


 何とか跳んだ。しがみつく。掴んでいる――ここ! 私は跳ぶ。クリアは絶望的。


 いけるとこまでいくか……


 ドラゴングライダーのトランポリンを踏み込む。ジャンプ! 手を放しきる。バーをつかむ。片手離れた。すぐさまやり直す。着地。残り42秒。


 タックルが重い。手が痛い。「やってやるんだ!」と思うと力が熱くなる。体に力が入る。押せ――おすんだ、私! まあそれは後付けの叫びなのだろうけど。


 さあそして、残り18秒。少なっ――! 畜生、タックルで力が消耗されている。1回目、2.5mほどだろうか、まだ全然届かない。私は倒れこんだ。警告音が聞こえる。もう限界です、とリタイアを申告した。


吉田池子 1stリタイア ⑧そりたつ壁 残り5.2秒 自主宣告

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

もしもテツこりがSASUKEに挑んだら 沼津平成 @Numadu-StickmanNovel

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画