第4話 ち、違う!!本人ではありません!!

 あの配信から数日。

 今居るのは高校。

 昼休みにスマホを眺めていると気になるワードが目に留まった。


「……やっぱ話題になってんな」


 SNSを流し見ていると『白雪白』『赤烏陽彩』『赤白コラボ』『放送事故』とあの日に関連したワードが未だに注目されていた。

 ただ、これだけ騒ぎになっているのも相手側の登録者が多かったからだ。

 決して俺の暴走が注目されているわけでは無い。

 『独り言大杉君』『面白い男』『白さんの彼氏』『Vtuber白さん、男と同棲疑惑』『イケボでイケボを言う男』『プロ意識の代行』なんて知らん。

 俺は面白く無いし、雪奈の彼氏でも無いし、同棲もしてないし、


「あ゛あ゛あ゛!!」

「うわっ!?いきなり何だよ!?」


 前の席の親友、あきらが驚いたがそれどころでは無い。

 スマホが手放せない!!

 それに加えていつもなら簡単に頭から離れる情報が全て頭の中に残っている。

 何故だ。


「いきなり何だよ水無人……発狂するなら家でやれ!!」

「あ゛ん゛!?いつも発狂してるみたいな言い方やめろや!!」

「いつもだろ!?お前突発的に発狂するくせに!!」

「んなわけあるか!!」

「あるよ!!」

「そうか……」

「うわあ急に落ち着くな!!怖い怖い!!」


 感情を爆発させたおかげで少し落ち着いた。

 そもそも真っ先に気にするべきは陽彩さんとのオフ会、


「ん゛ん゛ん゛!!!!」

「急に血を吐くな!!お前今日おかしいぞ!?」

「いつもより?」

「いつも以上……情緒どうした!?」

「情緒は……今頃夢叶えてるかな……」

「え、情緒って生き物だったのか?」

「はあ?そんなわけないだろ。常識で考えろよ」

「……殴っていい?」

「一発で気絶するぜ?通報される覚悟をしな」

「お前無敵?輝く流星になったりs」

「水無人!!」


 おっと学校では超がつくレアキャラが現れた。

 我が幼馴染の雪奈。

 押しのけられて倒れた晶が哀れである。


「晶、遺言は?」

「妹に、俺の最後は格好良かったと……!!」

「お前妹いないだろ」

「あっ、そういえばそうd」

「晶君ちょっと黙ってて!!」

「……ああ、いい天気だなぁ」


 容赦の無い言葉に晶は窓から外を眺め始める。

 とは別に雪奈が必死な様子で俺に言った。


「今日小テストあるって私初めて聞いたんだけど!?」

「は!?今日小テスト!?」

「雪菜は仕方ないとして。晶、お前先週いただろ」

「「知らない!!」」


 まあ、仕方ない。

 雪菜は学校に滅多に来ないし、晶は人の話を聞かない。

 先週の先生の話を覚えているはずもない。


「お・さななじみさんお助けを!」

「晶てめえ俺の名前を弄るな、俺はお前の幼馴染じゃねえ雪菜の幼馴染だ!!」

「じゃあ水無人!!助けてくれ!!」

「えっ、嫌だけど」

「がはっ」

「水無人助けて!!」

「教科書30p〜40p。ぶっちゃけ基礎やっとけば十分なはずだから最低でも30p〜35pはやっとけ。この前お前の家で教えた分ちゃんと覚えてるなら六割はいけるはずだ」

「分かった!!ありがとうね水無人!!」


 そう言って教室を飛び出して行った雪菜を見送り、再びスマホを弄る。


「……ん?」


 TikT○kに来た通知。

 そのままアプリを開いて動画を見る。

 縦画面に映っているのはコラボの時の俺の暴そ……醜た……独りご……実況が流れていた。

 『同級生の声に似てる気がする。暴走具合も全く一緒。黒歴史確定乙w』、か。

 一体誰だ。

 えっと投稿主のユーザーネームは……【AKR-kgyk】。


「晶てめえ!!」

「やっべ名前変えたのに一発でバレた!!」

「黒歴史みてえな名前してんのはお前だろうが!!何だ【AKR-kgyk】って!!あきらだからあきらか!?【輝-輝き】とか頭痛が痛いし安直なんだよ!!」

「やめろ分析するな分解するな!!恥ずかしくなるだろ!?」


 何と驚く事に右下のハートマーク、良いねが四桁近くついている。

 何で!?


「ふははこの学校の全員と俺は知り合いだからな!!」

「ふざけんなよお前!!」


 つまりこの学校の人間のほとんどに俺=暴走という間違った認識が植え付けられてしまった(※事実です)。

 これは許されない。


「大体こじつけじゃねえか!!暴走する人間なんざ他にもいるだろ!!暴走=俺って考え方やめろ!!」

「嘘じゃねえし!!実際コイツの声と喋り方お前と似てるだろ!?」

「まるで俺が確定みたいな言い方するな!!どこがそっくりだよ!?俺は暴走なんかしねえわ!!」

「鏡見たことあるか!?」

「……?まあ、それなりに整った顔してると思うけど……?」

「……!?」

 

 スマホのカメラ機能で自分の顔を映す。

 いつもの俺の顔だ、間違いない。


「……」


 何となく視線を感じる。

 周囲を見回すと何人かと目が合った。

 しかも俺の方を見てスマホを弄っている。


「あ゛き゛ら゛ぁ゛!!」

「うわ耳が死ぬ!?」

「ふうっ、ふうっ!!」

「ハザードトリガー使ってます?」

「ヤベーイ!!ってんなわけあるか!!ハザードだったら無言だ!!」

「ドンテンカン!ドーンテンカン!!」

「君を、殴る」

「せ、せめて顔以外で……!?」

「……お前を殺す」

「やめろ怒りを殺意に変えるな!!ちょ、ちょっと待って!?」


 きっと気分がおかしくなっていた。

 周囲を見回して大声で宣言する。


「違うからな!!俺じゃ無いからな!!本当だからな!?」

「お前それ逆効果だぞ!?」


 ちなみに小テストの点数に関してだが。

 俺は八割。

 雪菜は六割。

 晶は三割。

 追試確定の晶を煽るのマジで楽しかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る