「三十歳、童貞、卒業出来なかった俺は魔法が使えるようになっていた。」
@NoName69
第1話プロローグ
「お誕生日おめでとう、ご主人様。めでたく三十歳童貞達成ですね」
俺の飼い猫のミケが、にやにやしながら言った。
待て。今、猫が喋った?
「えっ?」
「やっぱり気づいてないんですね。今日からあなた、魔法使いになれたんですよ」
俺、田中悠人(たなかゆうと)は、この瞬間、人生が激変することを知った。
「なんだよそれ。ネットの都市伝説みたいな『三十歳童貞は魔法使いになれる』っていうアレ?そんなの嘘だろ」
「ほう?じゃあ試してみますか?その机の上のAVを、例えば...消し飛ばしてみるとか」
慌ててAVを隠そうとした瞬間、指先から青い光が走った。
ボッ!
「うわっ!」
机の上のAVが本当に消え失せた。というか、灰になった。
「おめでとうございます。晴れて童貞魔法使いの仲間入りです」ミケが優雅に尻尾を振りながら言った。「ただし、一つだけ忠告を。童貞を卒業した瞬間、魔法と共にあなたの命も消えますからね♪」
「は?」
「だって、童貞卒業=死亡フラグですもん。ギャハハハ!」
このふざけた猫は、俺の新しい人生の始まりを告げる案内人らしい。しかも最悪な方向に。
...
翌日。
「ご主人様、今日は特別な場所にご案内しますよ」
ミケに連れられてやってきたのは、駅前の雑居ビルの五階。看板には「Virgin's Cafe」と書かれていた。
「ここは...」
「ご同業者との交流の場です。さぁ、入りましょう」
ドアを開けると、中には似たような冴えない感じの男たちが数人。皆、何だか怪しげな光を纏っている。
「あ、新入りだ!」
「おお、今月の新規さんか!」
「よく来たな、同志よ!」
俺は、なんとも言えない居心地の悪さを感じながら、童貞魔法使いたちのたまり場に足を踏み入れた。
これが俺の新しい日常になるのか...。考えただけで頭が痛くなる。
「あ、そうそう」ミケが不敵な笑みを浮かべながら付け加えた。「実は魔法使いになってから、モテ期が来るんですよ。でも、その、死にたくなければ...ね?ギャハハハ!」
この意地の悪い猫め。これから先の人生が地獄になることは間違いない。
「三十歳、童貞、卒業出来なかった俺は魔法が使えるようになっていた。」 @NoName69
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