傾国の鬼人と喪服の嫁御巫
長久
序章 出会いと復讐
序章
蔑まれ、惨めに生涯を終えると思っていた人生が一変したのは
「私が最も愛した男と、最も難き女の子よ。――私の嫁に来い」
この強引な言葉が切っ掛けだった。
因果とは数奇なもので、何処でどのように繋がるかは分からない。
妖力による圧倒的な武力を持ち、国主として君臨する妖人。
そして妖人の妖力を授かり、守護や治癒の結界で怪異の脅威を退ける補佐を成す嫁御巫。
《
操を立てるのを誓う白い喪服姿で葬儀に参列していた――無能と蔑まれる
「これは、復讐でしょうか」
そう、尋ねる。
力関係から、嫁御巫に拒否権はない。
それでも、尋ねずにはいられなかった。
氷のように冷たい表情、焔のように紅い瞳。娶ると宣言した妖人は、返答すらしない。
この日――傾国の鬼人が、白い喪服の嫁御巫を娶るという異常事態が起きた。
血の因果で憎み合うべき者たちが交わる事件が、やがて神州全土を巻き込む炎となる――。
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