22
あぁ、だめ。
もう欲しくなってる。
「お願いします」
ピアッサーを耳に当てる。
心臓は緊張と未知の痛みに、脈を打つ速度が速くなる。
そんな私に躊躇う事なく、綾部先輩はピアッサーを強く握りしめた。
――カシャン
廊下を歩くと、あちこちの教室から「おはよう」と挨拶の声や、今日の時間割についての愚痴が聞こえてくる。
長い髪の毛だからか耳が腫れている事も、穴が空いている事も、誰も、何も、気づかない。
朝練終わりの池田くんが教室に入ってきた。
私の席にやって来て、「おはようっ」と声を掛ける。
私もいつも通り「おはよう」と笑顔で返す。
あんなことがあったのに、心は空みたいに、澄んでいた。
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