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太陽が登り、いつもより早く目が覚めた。


勉強机に置いた、綾部先輩から渡された連絡先が書いてある紙を、手に取る事なく見る。


関わらない。

あんな、チャラくて悪そうな人、関わっちゃダメ。

変なことに巻き込まれたら怖いし、変な噂が立っても困る。

私から連絡する必要なんて全然無い。


それに、池田くんが不安になる。


約束したの、関わらないって。

だから、絶対に関わらない。


もう、会う事なんて――。



「おはよう、アカネちゃん」


「……え」



いつもより少しだけ早く家を出た。

いつもと違うことをしたのはそれだけなのに。


昇降口、1年生の下駄箱前で、綾部先輩が腕を組んで、背をもたれて立っていた。


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