誰も教えてくれない障害年金受給者のお財布事情
星咲 紗和(ほしざき さわ)
第1部:障害年金を受給するまでの道のり
私が障害年金を受給することになった背景には、長い悩みと試行錯誤がありました。一般就労が難しいと診断されるまでには、さまざまな出来事があり、心身ともに限界を感じる時期もありました。
もともと私は一般就労を目指して職探しをしていました。しかし、どの職場でもうまく馴染めず、プレッシャーや環境の変化が重なり、次第に心の負担が大きくなっていきました。社会のペースに合わせることができず、自分自身がどんどん追い詰められていく感覚がありました。その結果、医師から「一般就労は困難」という診断を受け、就労継続支援B型事業所を利用することを提案されました。
B型事業所では、自分のペースで作業ができる環境が整っており、少しずつ心の負担も軽減されていきました。しかし、ここで得られる工賃は数千円程度。生活の基盤を支えるには到底足りない金額でした。そんな状況の中、相談支援事業所の担当者が「障害年金の申請を検討してみてはどうですか」とアドバイスをくれました。
最初は迷いました。障害年金という言葉にはどこか後ろめたさを感じていました。「自分が受給していいのだろうか」という葛藤や、「世間からどう思われるのか」といった不安が頭をよぎりました。しかし、医師や相談員との話し合いを重ねる中で、「自分の生活を守るために必要な制度」という理解が深まり、思い切って申請することを決めました。
申請の過程は簡単ではありませんでした。診断書や必要書類を揃えるために何度も病院や役所に足を運び、手続きの煩雑さに何度も心が折れそうになりました。それでも、相談支援員や医師のサポートを受けながら少しずつ進め、ようやく認可が降りた時には大きな安堵を感じました。
障害年金の受給が始まったことで、生活には少し余裕が生まれました。それまでは「どうやって明日の生活費を捻出しよう」と不安で眠れない夜もありましたが、今は最低限の生活を支えるだけの土台ができたと感じています。もちろん、それでも楽ではありません。しかし、申請を決断したことで得られた安定は、私にとって大きな支えとなりました。
この章では、障害年金を受給するまでの私の道のりを振り返りました。次の章では、受給後の生活と現実について詳しくお話ししたいと思います。
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