ある日突然神になったら~神社の名物おじさん~

沼津平成

第1話

 ヒトって怖いよね。俺は振子ふりこ。年収800万円、フリーターのフリ子。振込詐欺に騙されて、人生が暗くなった。いやさ、もう…………泣く。


…………そんな俺が、道端で、倒れています。


…………誰も俺のことを目に留めません。


…………俺は泣く気力もなくて、ぐったりと倒れています。


「ん?」…………


 突然あたりがまぶしくなった。


 ぴかーん。

 閃光は街を破壊することはなく、ゆっくりと俺のほうに近づいていった。

 しかしみんな動揺していない。


――なんだ?


 俺は突如とした違和感にとらわれた。俺が寝ている間に、街が一変したようだ。そうか、あるいはこれは俺が見ている錯覚であって、みんなは普通の日常を過ごしている……?


 なんだかとてつもない劣等感に襲われてしまった。しかし、どちらかといえば正しいのは後者のほうだった……。



 ぴかーん。


「なんだ?」


 遂に輝きが終わってきて、現れたのは白いからだが透けて見える女とも男ともつかぬ生物だった。


               *


 最初は、ヒトだと思った。しかしよく見るとしっぽが生えている。スカンクのようなしっぽだ。しかし、イメージと違って威嚇もなく、分泌液を散らすこともほとんどないらしい。


 それに光の中から人が出てきてたまるか。となると……


「神様?」


 俺は自然とその言葉をつぶやいていた――。

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