勇者である俺だが、魔王が可愛いので嫁にしてみた!!

わけわかめ

第一話 嫁に勧誘



「これより、ローザー・K・アルバート殿の勇者任命の戴冠式たいかんしきを行う!!」



 その声はどんな音楽よりも高らかに響いた。観客のボルテージも高まり、大歓声を上げている。

 ここはアルセーヌ王国、王都マーシャルボール。

その中心にそびえる王城でも、随一の広さと華やかさを誇る大広間である。

 

 しかし、俺にとってこれ戴冠式はお世辞にも嬉しいものではなかった。


 少し耳を澄ませば、「あの人なら魔王を殺してくれるに違いない!」や「歴代最強と言われる勇者様の誕生だ!!」など期待の声が聞こえるが、結局の所ステータスしか見てない。俺自身、『ローザー・K・アルバート』自身を全く見ていないのだ。

 だから、そんな上辺だけしか見てくれないような奴等の為にこの命を魔王討伐に捧げるなんて馬鹿らしい。・・・まぁ、国王に任命されたなら従うしかないけど。


「この聖冠せいかんを与えられし者は特別な力が付与されると言われている。きっと貴殿の助けになろう」


 俺は聖冠を受け取る。

 見たところ普通の王冠なんだが・・・本当に特殊能力的なのがあるのだろうか。なんなら自分が身に付けている装備の方が強い可能性があるぞ。


「貴殿は、その身を『魔王討伐』に捧げる覚悟はあるのか」


「・・・あります。良い結果を報告出来る様に精進して参ります」


「うむ。それでは頑張るが良い」


 ――そして、全てはここから始まった。退屈な毎日が終わりを告げるとも知らずに。

 

 ◇◇◇




「やっと見つけたぞ魔王!!」


「フフフ、遅かったな勇者よ。我はもう待ち草臥くたびれた。さぞ、我を楽しませてくれるんだろうな!!」


 あれから五年。俺はやっとこさ魔王城に辿り着いた。アルセーヌ王国から、魔王城まで普通なら三年あれば到着するはずなのだが、道中色んな道草食ってたら二年も遅れてしまった。

 まぁ、別に期限決まってないから良いんだケド。



「今からお前を討伐する。抵抗したければするが良い。俺の剣の錆になる事は・・・・・・ん?」


 俺は魔王の顔を確認する。


 嘘だろ......


 めっちゃかわいいぃぃぃ!!!!

 え、本当に可愛いすぎるんだが。黒髪ロングのポニーテールにつぶらかな瞳、妖艶な笑み。そして出る所は出て引っ込むべき所は引っこんでいるパーフェクトなスタイル。その姿は人間の美少女と殆ど遜色がない。俺のタイプにドンピシャである。


「どうした、まさか我の姿に怖気付いてしまったのか??」


「なぁ魔王」

 

「なんだ勇者よ」


「突然なんだが・・・・・・?」

 

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