スペースオペラって何だっけ?【仮】

吉高 都司

第1話 -1

 その戦闘艦はかなり古いもので、先代、先々代から数えて100年以前のものらしい。譲りうけた時にはそれはそれはびっくりするくらい、外観は綺麗で本当に旧艦か?と思うくらいだったが、いざコックピットで指揮を執るとメインエンジンは咳込むは、デスドライブは座標合わせに時間がかかるは、弾頭の発射には手動とAIのミックス、つまりAIの指示が無ければ1発もまともに撃つこともできない。とにかく何をするにしてもひと手間ふた手間かかる代物で、で。そのAIてのが、ザ・機械で機械機械していればいいのだが、人型のそれも男やもめの俺からすれば【かなり】の女性型の、何が【かなり】なのか、追々わかることなのだが、以外は傭兵の俺からすればある程度我慢できる、支給された武器に自分が合わせるのはお手のもんだ、まあいずれにしても、この超旧式艦と【かなり】のAIが1000年続く星間戦争の真っただ中に放り込まれ、人生だけで成り立っているような俺がどうやってから解放されるのか。星一つ消し飛ぶ位の次空弾が必要なのか。あ、あと、借金もふくめ、だ。

 さて、どうやら、補給艦からの補給はもうすぐ済みそうだ、今日のレコードはこれくらいにしておこう。+01:032:00598:0 以上。

 そう言って、【かなり】のAIの右耳に近づけていた口を離して、顔から火が噴くほど真っ赤にしながらぼそり「早く彼女作らなきゃ」と呟いた。

 遠くで、用事の終わった補給艦と超旧式戦闘艦の接続橋が外れ、橋が無作為に壁に艦に当たる衝撃音と、それぞれの艦のサブエンジンを使いお互いが離れていく衝撃波が、艦内を振動させ共鳴させていた。補給艦のサブエンジン、からメインエンジンに切り替わった光跡が、ほかの星と変わらないほどの等級になったころ、その超旧式戦闘艦はデスドライブオンに入った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る