第25話
冬休みの間。
家族の協力もあって、ユウジとは、あまり会わずに過ぎた。
明日からまた学校が始まる。
せっかくユウジとここまで離れられたから・・・もう、以前のようには戻りたくない。
学校が始まって、毎日縛られるのは・・・イヤ。
ユミは、『私がガツンと言ってあげようか?』と心配してくれるけど・・・
それじゃダメだよね。
私の問題だもん。
自分でなんとかしなきゃ・・・
学部の違う私とユウジが、大学内でバッタリ会うことなんてめったにないから。
ユウジにつかまる前に、さっさと帰ってしまおうと考えていた。
教室を一番に飛び出して、逃げるように駅まで走る。
汗だくになって走って、やっと見えた駅に、すごくホッとした。
(よかった。見つからずに帰れそう)
悪いことしてるわけじゃないのに、なんで私、コソコソ逃げるようなことを・・・
そう思いながらも、駅に着くと『これで大丈夫』って安堵感があった。
・・・それなのに。
ホームで電車を待ってる間に、携帯が鳴ってしまう。
(・・・やっぱり・・・ユウジからだ・・・)
出ようか出ないか迷ったけど、毎日こんなの続けるわけにはいかないから。
(ちゃんと断ろう。帰る!って・・・)
そう決意して、電話に出た。
「アカリ、今どこだよっ!?何度も電話してんのにっっ」
私がつかまらない事で、すでにイライラし始めてるユウジ。
「あ、ごめん・・・もう駅で・・・」
「はっっ!?なんでっ!?」
「えぇ~っと・・・」
強い口調のユウジに、やっぱり私は曖昧にしか言えなくなってる・・・
「何で来ないんだよっ!?マジで、何やってんの!?」
「あの、えっと・・・今日は、真っ直ぐ帰ろうかな~って・・・」
「ダメっ!俺、会いたい!駅だな?すぐ迎え行く!」
この、絶対的な強引さに負けて、やっぱり合わせてしまうんだ・・・
私も負けないくらい、強引に断れればいいのに・・・
(・・・情けない・・・)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます